LT社のキハ58・28・キロ28 |
T社のキハ58系が発売されたのはもう10年以上も前。にもかかわらず、金型の大きな変更もなく現在でも通用するのですから、大したものです。
細かい部分もよく再現されており (逆にそれが厄介なことになることも...)、間近に見ても実車を彷彿とさせられます。特にT社のキハ58系が評価されるのが
発売当時はまだそれほどメジャーではなかったボディマウント式のカプラーを採用したことです。これによって、より実車のような感じが再現されることに
なります。それは単に連結器の形状や機器の表現だけでなく、連結間隔や曲線通過時の車体の動き方など、実車とほぼ同じ仕組みとなっているからこその
再現となったのです。ただ、それは逆に、従来のアーノルドカプラーとの決別を意味し、他の形式と編成を組むことが困難になりました。すぐにアーノルド
接続用のカプラーが付属されるようになりしましたが、各社どの車輌でも...とは簡単にいかなくなりました。
このキハ58系全体を通して共通して言える特徴は、後期形の車輌が再現されているということです。これはK社初期型の車輌を再現しているためか、単に
売り出す時期に多く残っていたのが後期形だったからか定かではありませんが、多数グループの特徴を混ぜ合わせたような印象を受けます。ただ、キロ28については
なぜ少数派の2300番台 (最初の発売当時は2500番台も発売) なのか、という疑問は残ります。もちろん、K社が0番台を発売していたということはあるかも
しれませんが、それならば100番台でもよかったのでは...と思わずにいられません。
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13-1. キハ58 |
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側面でポイントとなるのは@のドア、Bのバランサー蓋、Eの通風器です。@BEの条件を全て照合すると、公式サイトの紹介どおりに
該当する車輌は549〜654となります。まず、これ以前の車輌であればBのバランサー蓋が存在しないか、このような形状ではありません。また、@のドアに
丸窓がついているため400番台以前の車輌にもなりえません。一方655以降の車輌とはならない理由はEの通風器です。655以降の車輌はデッキにも通風器が
増設され、8個設置されています。ただ、この通風器は特にJR後は撤去された車輌も多いため、時代設定によっては再現は可能です。
ただ、この車番設定で完全に再現できなかった部分があります。それがDのトイレ窓です。本来この車番区分では、トイレ窓 (洗面所も同様) は波目ガラスが
使用されており、模型のような単純なスリガラス(石打目)ではなかったのです。もちろん「後年取り替えた」というような設定をすればOKとなります。 |
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前面と妻面の両方で番号区分のポイントとなるのはFの尾灯とIの標識かけですが、残念なことにこのいずれも再現されている番号区分のものとは
異なっています。まずFの尾灯ですが、該当する549〜654では内バメ式となっており、尾灯の付け根が広まっているのが特徴です。これは仕方がないのかも
しれませんが、内バメ式は外バメ式に比べて高さがない (前後方向に) のが特徴であり、内バメ式にしては出っ張りすぎの感があります。さらにIの標識かけは
平窓車最後期に登場したI字型のもので、大多数の平窓車に見られた逆T字のものではありません。K社がちゃんと逆T字で表現されている以上、技術的な問題
ということには出来ません。非常に細かい部分ですが、側面の熱の入れように比べると前面・妻面はガッカリという印象を受けます。 |
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側面の特徴的な部分のアップです。通風器の追加は比較的簡単に行えますが、丸窓を埋めることやバランサー蓋の加工はちょっとした手間です。
一番の問題は「色」でしょう。埋めたり削ったりという作業は多少「いじる」ことを経験されている方ならば簡単に出来るのですが、そのあと同じ色に塗る
ということがなかなかのものです。これは決して「塗る」事が大変という意味ではありません。「同じ色」にすることが難しいのです。鉄道用カラーは
大手、専門店問わず出ていますが、この模型メーカーの色そのものに合わせるということはなかなかできません。もちろん、全ての塗装を落とし、一から
自分で塗りなおすのであれば問題はないのですが、ちょっとした改造のために塗りなおすというのは大変な手間です。個人的には各メーカーには通販でもいいので
こうした補修用の塗料を販売してもらえないだろうか...と考えているのですが、皆様はいかがでしょうか?
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13-2. キハ28 |
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キハ58と同様に、側面でポイントとなるのは@のドア、Bのバランサー蓋、Eの通風器です。公式サイトでは2357〜2414を再現したとなっていますが、
@BEの条件で照合すると、これらは該当する車輌となります。しかし、キハ28の場合は、Cの給水口の位置が問題となってきます。
Cの給水口の位置は398を境にして場所が移されました。模型で表現されているような前寄りのものは397 (2397) までとなります。したがってこのキハ28が
再現されている番号区分は2357〜2397となります。2398以降の場合は給水口が中央寄り、つまりキハ58の前側の給水口のみという形になります。致命的なミス、
というほどのものではありませんが、ちょっと惜しかったなという印象です。2398以降を再現する場合、現在の穴を埋め、新たの給水口を再現するより、
キハ58の後ろ側の給水口を埋めるほうが簡単な気がしますが...。
あと、このキハ28においてもDのトイレ窓の問題があります。こちらも本来この車番区分では、トイレ窓 (洗面所も同様) は波目ガラスが使用されており、
模型のような単純なスリガラス(石打目)ではなかったのです。こちらも「後年取り替えた」というような設定をすればOKとなります。 |
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前面と妻面のポイントもキハ58と同じです。ですので詳しい説明はキハ58の項をごらん頂くことで省略させていただきます。
ただ、Hの冷房配電盤がキハ58よりも大形のものがついているのが特徴です。これは単なる調査車輌による個体差なのか、冷房ユニットがあるための
特別なもの (キハ28ならではのもの)なのか、当方の調査不足のため不明です。 |
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側面の特徴的な部分のアップです。これもまたキハ58とほぼ同じことばかりなので詳細は省略しますが、Cの給水口ですね〜。2398以降は前から4つ目と
5つ目の窓の間の下ぐらいの位置になっています。
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13-3. キロ28 |
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キロ28の場合は妻面に大きな特色はないので、側面のみの説明となります。
キロ28-2300として発売されていますが、正確にはキロ28-2301〜2308となります。これは2309以降は屋根の形状とトイレ・洗面所の位置が変更されているためで、
これらの車輌を再現する場合は今回発売されなかったキロ28-2500を使用することになります。なお、キロ28-501〜505もほぼ同じ形状なのですが、冷房が4VK
ではなく4DQであったため、黄色Hで示している冷房エンジンの形状が異なります。ただ、4DQは逆台形の防音カバーが取り付けられていたため、こちらへの
改造は比較的容易かもしれません。
同様に近い外観の車輌にキロ28-196〜204があります。これはDのトイレ窓が2300番台と同様に長方形に変更されたグループのためなのですが、このグループの
屋根上には蛍光灯用の通風器がまだ残っていました。したがってこの部分の再現が必要となります。なお、トイレ窓に関しては透明の長方形はこの196〜204のみで
モデリングされているキロ28-2300および2500番台はガラスが白色となっています。
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キハ58・28、キロ28と取り上げてきましたが、いずれも冷房車ばかりです。キハ58では549〜654、キハ28では2357〜2398、キロ28は2301〜2308が
該当する車輌としましたが、この中には非冷房車も含まれています。
詳しくは履歴表を参考にしていただきたいのですが、キハ28ではいきなり2輌が非冷房のため、該当する車輌は2359〜2398 (つまり2357、2358という車輌は
存在しない) となり、キハ58では4輌も非冷房車が続き553〜654となります。幸いキロ28は全て該当となりますが、わずか8輌ですから...。
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