特集 キハ58系再発売記念 その3



目次
@車輌ドア
Aタイフォン
Bバランサー蓋
C給水口
D便所窓
E通風器
F尾灯
Gワイパーと手すり
H冷房関係
I標識かけ
J強制通風装置
Kキロの屋根について
LT社の
キハ58・28・キロ28

MK社のキハ58・
キロ28
NT社とK社の違い
OK社のキハ58を
T社仕様に改造

P客室
Q運転台


 今回からは後年の改造を取り上げてゆきます。ある番号から番号までという区分はなく、個々の車輌の「個性」でも ありますが、ある程度の分類は出来ます。全ての車輌がどれに当てはまるか、ということはさすがに断定は出来ませんが、 このようなパターンがある、という参考にして下さい。


Gワイパーと手すり
 キハ58系のワイパーは製造年次によってモデルチェンジがされましたが、それはアームの長さが若干伸びた 程度ですので、今回はその変化よりもさらなるワイパーの改造と窓の下にある手すりに着目してゆきます。模型においてこの部分 まで改造するとなると地味な割に手間のかかる作業ですが、特に末期の状態を再現される場合であれば個性として引き立ちます。

8-1. ワイパー、手すりともに原型 
ワイパー01 キハ58-208  キハ58系のワイパーは当初、キハ20系などと同じくシングルアームのものが使用されていました。これはもちろん 運転士側、助士席側も同じです。前面窓とワイパーの下には作業用の手すりが設けられています。本来の位置はワイパーの 付け根のすぐ下ぐらいの高さに取り付けられています。
8-2. 極めて原型に近い状態
ワイパー02
キハ28-2371
 この車輌の場合、ワイパーがダブルアームのものに交換されていますが、ダブルアーム交換による台座の取り付けが 行われていない珍しいパターンです。台座が取り付けられていないため、手すりの高さも変更されていません。
8-3. パノラミック窓で極めて原型に近い状態
ワイパー03
キハ58-1504
 パノラミック窓車の場合、ワイパーはダブルであっても、台座は平窓車ほど目立たないものになっています。 そのため手すりは平窓車と同じ高さとなっています。
8-4. 手すりのみ原型 
ワイパー04
キハ28-2002
 通常ダブルアームに交換された場合、このような台座がワイパーの付け根に取り付けられます。この車輌の場合は 台座が取り付けられ、手すりの隙間が狭くなっているにもかかわらず、手すりの移動や交換などは行われずに、オリジナルの 高さを維持しています。
8-5. ワイパー改造、手すり片方のみ移設 
ワイパー05
キハ28-2119
 ダブルアーム交換車でよく見られるパターン、その1がこれです。助士席側の手すりの高さはそのままに、運転士側の 手すりの高さだけ少し低い位置に移設しています。台座の全てが見える状態で、8-4と比較すれば一目瞭然です。
8-6. パノラミック窓で手すり片方のみ移設 
ワイパー06
キハ58-1529
 台座の出っ張りが少なく、本来は移設する必要のないパノラミック窓の車輌でも、手すりを移設している車輌は ありました。台座自体が小さくなっている上に、手すりの下げ具合も大きいためより目立っています。
8-7. 手すりを小型のものに取り替え
ワイパー07
キハ28-2480
 ダブルアーム交換車でよく見られるパターン、その2となるのがこれです。本来の手すりはほぼ窓の端から端まで の幅があるのですが、台座の車体中央寄りから貫通幌枠までという小さい手すりに交換したものがありました。高さ自体は 原型の高さですが、独特の長い手すりから短いものになったことで足掛け程度にしか見えなくなっています。
8-8. 運転士側の手すりを撤去
ワイパー08
キハ58-563
 この車輌のように前面強化をした場合など、その工事と同時に手すりを撤去してしまったパターンもあります。 さすがに両方の手すりを撤去してしまったものはないのですが、このパターンも意外と多く存在します。
8-9. パノラミック窓で運転士側の手すりを撤去 
ワイパー09
キハ58-1523
 その裏づけか(?)パノラミック窓車輌においても手すりを撤去した車輌がありました。
8-10. 両方の手すりを移設 
ワイパー10
キハ28-2309
 一見すると8-4と同じように見えますが、よーく見てください。両方の手すりの位置が下げられているのです。 運転士側の手すりが台座の下縁より外になっていますので、原型よりも低い位置にあるということがお分かりだと思います。 助士席側の手すりがその高さと同じということは、両方の手すりが移設されたということになります。
8-11. 前面強化による特殊な例 
ワイパー11
キハ58-1022
 極めて特殊な例として、JR東日本の前面強化工事によって手すりに台座が設けられているパターンです。 位置もオリジナルよりも低い位置にあるのですが、ワイパーはシングルアーム。しかも前面強化は後半巻き付けの 典型的なパターンに加えて行われている念の入れようです。もちろん、このような例は国鉄時代にはなく、JR東日本でも ごく一部に過ぎないものと思われます。






H冷房関係
 キハ58系で最も目立つ改造といえば冷房化です。言うまでもありませんが、ほとんどのキハ58系は非冷房で 製造されています。したがって冷房化は後に行われた改造であり、その工事も大小様々な違いが発生しています。もちろん、 冷房化が全車に及んでいないことはご承知のことでしよう。しかし模型となると残念ながらそこまでちゃんと再現できるかが ポイントとなります。現在発売されているもののほとんどが冷房車であるため、逆に非冷房車を再現するほうが難しくなって います。屋根板を交換して終わり、というわけにはいかない細かい部分があるのです。それは簡単に出来るものからそうでない ものまで...。その一部をご紹介してゆきます。
9-1. 冷房車の前面 9-2. 非冷房車の前面
冷房前面
キハ58-293
非冷房前面
キハ27-23
 キハ58系において、冷房車と非冷房車の前面ほど異なるものはありません。左の9-1は冷房車の キハ58-293。右の9-2は非冷房車のキハ27-23。両者の大きな違い、それは冷房用のジャンパ線の有無です。冷房用の 電源はキハ28やキロ28から供給されるため、キハ58(キハ57も)ではそれを受けるため、キハ28ではそれを送るためにジャンパ線を 設けています。逆に、非冷房の車輌ではそうしたやりとりは不必要なので、ジャンパ線は取り付けられていません。そのため、 冷房車の間に非冷房車があると電源の供給が出来ず、キハ58の冷房は使用できないという事態となってしまいます。
 なお、このジャンパ線受けの位置は実にまちまちで、高い位置、低い位置、中央寄り、と様々ですが、基本的にはこの 緑枠の範囲に収まっています。

9-3. 冷房車の妻面
妻面1
キハ58-199
妻面2
キハ58-412
 このジャンパ線は当然妻面にも設けられています。妻面の場合はジャンパ線受けの車体部分を凹ませて いるのが特徴です。この凹みの位置も前面のジャンパ線受けの位置と同じく、位置の変化が各車輌に存在しています。 非冷房車の場合はこの凹みは当然ありません。また、左の車輌は近郊化改造により妻面にドアが設置されてしまっている ため、旧洗面所側にあった窓が埋められていますが、本来は右のようにデッキ妻面に落とし窓が設けられていました。なお、 非冷房車はこの窓が便所側にも設置されていたのですが、冷房車はこの位置に冷房の制御配電盤を設置したため、その窓が なくっています。また、この配電盤設置により外部からもわかる出っ張りが出来ているのも特徴です。非冷房車を再現する 場合、ここが最大の問題となります。
9-4. 冷房準備車の妻面
準備妻面
キハ58-1504

 非冷房車の中でも、例外となるのが「冷房準備車」です。冷房準備車は冷房を設置する前提で製造されて おり、すぐに冷房工事が出来るよう車体の必要な設置のための窪みなどはあらかじめ作られています。残念ながら冷房化 されなかった車輌も多く、そのような車輌の場合はジャンパ線受けのない状態で、窪みだけが虚しく存在しています。 なお、前面に関しては特に目立つ準備工事はなく、基本的に非冷房車と同一です。




 以上、前面と妻面のジャンパ線などについて解説をしましたが、ここからは電源の主であるキハ28とキロ28に ついて進めてゆきます。
 冷房電源の供給元であるキハ28、またはキロ28には、当然発電用の機器が備わっています。冷房が始まった当初、冷房電源は 4DQという1輌のみ供給するものでした。もちろん、これでは他の車輌に給電することは出来ません。そこで考えられたのが 自車を含め3輌まで給電できる4VKでした。これの登場により冷房化は急速に進むことになりました。模型で再現されて いるのはすべて4VKの車輌です。ただ、基本的に4DQはキロに使用されていたのがほとんどで、キハ28の場合はほぼ 全てが4VK (いわゆる+2000番台という車輌) で、ごくまれに発電機関なしの冷房車 (つまりキハ58と同じ) が存在して いました。問題のキロ28ですが、当方が保有するキロ28の写真はほとんどなく、明確な資料をお届けできないのが残念ですが、 4DQと4VKでは若干問題があるのです。この発電用のエンジンは車体に吸気口を設け、ここから新鮮気を取り入れて 発電するようになっているのですが、この吸気口が4DQは車体左側に、4VKは車体右側にあるのです。また、その形状も 初期の非冷房車と冷房準備車〜冷房車では異なっているように思われ、位置も微妙に異なっています。09/8/24訂
 ただし、キロ26の場合は形状が異なっており、キハ28前期形と同様の小型のものが使われていました。ただし、キロ26は全車が 4DQですので、吸気口は左側(車掌室側を前として)に設けています。09/8/24追加
 また、キハ28に関しても以下のような差がありますが、こちらに関しては模型ではきちんと再現されているので問題はないと 思います。ただし、これは4VKの場合ですので、それ以外についてはこの限りではありません。

9-6. 平窓車の場合
通常
キハ28-2409
 通常の4VK搭載車輌の例。平窓車のキハ28の場合、冷房機関の吸気口は車体右側の窓下にあり、横に長い長方形の ルーバーでした。このルーバーの位置はほぼどの車輌も同じで、後から4つ目の窓の下にありました。発電ユニット(黄色矢印) は左にラジエーター、右に発電機が向いていました。
9-7. P窓車-後期の場合09/10/24訂
後期通常
キハ28-3016
 パノラミック窓車輌でも
 -以下09/10/24追加・再編集-
当初は平窓車と同じ吸気口の形状となっていました。しかし途中から その位置と形状が変更されています。冷房ユニットの向きは同じであり、 吸気口も車体右側にあるのですが、位置は後から3つ目と4つ目の窓の間にあり、形状も窓の間に合わせて上下に長い長方形となっています。 キロ28の後期車ほどの位置ではありませんが、平窓車に比べ高い位置に設けられています。
9-8. P窓車-極初期の場合09/10/24訂
後期特殊
キハ28-2506
 パノラミック窓車輌の中でも、2505〜2510は最初に4VK化が行われた車輌で、試作的要素なのかかなり異例の存在です。 まず電源ユニットが逆向きで、右側にラジエーター、左側に発電機となっています。左右が逆になったのはこれだけではなく、 吸気口も4DQと同じく左側に設けられています。これはこの2505〜2510のみであり、他の車輌ではこのようなことは確認されて いません。
09/10/24追加
 この写真では吸気口の位置を窓の間の柱としていますが、実際は 平窓車と同じ位置 (この場合は4DQ車と同じ) となります。
9-9. キロ28の場合 9-10. キロ26の場合
キロ28吸気口
キロ28-2512
キロ26吸気口
キロ26-104
 キロ28の場合はこのような大形のルーバーが使われ、位置もかなり
高いところにありました。4DQの場合も形状は同じですが、位置は
反対側になります。
09/10/24追加
 キロ28が窓の間に吸気口が設置されているのは、下降窓であるため 窓の下に吸気口を設置する事が出来ないためです。
 キロ26の場合は窓の間が狭いためか、キハ28と同じ小型のものが使用されています。
09/10/24訂正
 キロ26の場合は上昇窓ですので、キハと同様に窓の下に吸気口が設置されています。





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