キハ58系のパーツについて |
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キハ58系 (今回はキハ65は除外する) は1961年(昭和36年)から1969年(昭和44年)まで8年間に渡り製造されました。
そのため増備中に様々な設計変更が行われ、目立つ部分から細かい部分まで大小さまざまな違いが製造年によって生じて
います。最も大きな変更はパノラミックウインドウへの変更ですが、これ以外の変化についても興味深いものも多数あります。
もちろん後年による改造も多種様々あり、これについても解説をしてゆきます。
まず最初に、製造時の設計変更による違いについて取り上げます。設計変更は車外の部品、車内の部品、部品の大小と
多岐にわたり、同じパーツでも何度も変更されているものもあります。これらの設計変更のうち、特に目立つ部分や模型の
製作上ポイントとなるものについて取り上げました。各ポイントとそれぞれに対応する車番、その部分の変化について
以下の表にまとめました。表の先からは各パーツについての解説を進めてゆきます。 |
キハ28 |
扉丸窓 |
タイフォン |
バランサー蓋 |
給水口 |
トイレ窓 |
通風器 |
尾灯 |
キハ27 |
1〜203 |
なし |
スリット※ |
なし |
端寄り |
波目 |
6個 |
内バメ |
1〜56 |
301〜328 |
あり |
↓ |
↓ |
↓ |
↓ |
↓ |
↓ |
101〜107 |
329〜356 |
↓ |
シャッター |
↓ |
↓ |
↓ |
↓ |
↓ |
該当なし |
357〜397 |
↓ |
↓ |
あり |
↓ |
↓ |
↓ |
↓ |
該当なし |
398〜414 |
↓ |
↓ |
↓ |
中央寄り |
↓ |
↓ |
↓ |
108〜112 |
415〜437 |
↓ |
↓ |
↓ |
↓ |
石打目 |
8個 |
↓ |
113〜118 |
438〜485 |
↓ |
↓ |
↓ |
↓ |
↓ |
↓ |
外バメ |
119〜124 |
486〜494 |
↓ |
↓ |
↓ |
↓ |
長方形 |
↓ |
↓ |
125〜129 |
1001〜1024 (3001〜3024) |
↓ |
スリット |
なし |
↓ |
長方形 (白色) |
デッキのみ |
↓ |
該当なし |
501〜504 |
↓ |
シャッター |
↓ |
↓ |
長方形 |
↓ |
↓ |
201〜203 |
1505〜1510 (2505〜2510) |
↓ |
↓ |
↓ |
↓ |
長方形 (白色) |
↓ |
↓ |
204〜217 |
※ごく初期の車輌ではシャッターつきもあり ・ キハ27のタイフォンは全車シャッターつき |
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キハ58 |
扉丸窓 |
タイフォン |
バランサー蓋 |
トイレ窓 |
通風器 |
尾灯 |
キハ56 |
1〜312 |
なし |
スリット※ |
なし |
波目 |
6個 |
内バメ |
1〜47 |
401〜473 |
あり |
↓ |
↓ |
↓ |
↓ |
↓ |
101〜116 |
474〜548 |
↓ |
シャッター |
↓ |
↓ |
↓ |
↓ |
該当なし |
549〜654 |
↓ |
↓ |
あり |
↓ |
↓ |
↓ |
117〜120 |
655〜733 |
↓ |
↓ |
↓ |
石打目 |
8個 |
↓ |
121〜124 |
734〜793 |
↓ |
↓ |
↓ |
↓ |
↓ |
外バメ |
125〜137 |
794〜1052 |
↓ |
↓ |
↓ |
長方形 |
↓ |
↓ |
138〜151 |
1101〜1143 |
↓ |
スリット |
なし |
長方形白色 |
デッキのみ |
↓ |
該当なし |
1501〜1511 |
↓ |
シャッター |
↓ |
長方形 |
↓ |
↓ |
該当なし |
1512〜1534 |
↓ |
↓ |
↓ |
長方形白色 |
↓ |
↓ |
201〜214 |
※ごく初期の車輌ではシャッターつきもあり ・ キハ56のタイフォンは全車シャッターつき |
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@ 車輌ドア |
運転台のあるキハ58・28、56・27では、前扉と後扉とでは形状が異なることはご存知でしょう。
これは前扉の窓ガラスの部分にガラス保護用の柵 (網?) が設置されるためです。この保護用の柵は、タブレットを走行授受する
際に窓ガラスに当たって破損するのを防ぐために設置されたのですが、タブレットを使用しなくなったことや、急行や快速など
通過列車がなくなってゆくにつれ、この柵は撤去されました。撤去は1970年代には始まっており、JR後ではほとんどの車輌が
撤去されていました。
このドアにおいて、もう一つのポイントとなるのが扉の下のほうにある小さな丸い窓です。これは夜間、暗いホームで
半自動扱いとしたとき、開閉可能なドアかどうかを判断するためにステップ灯を外に逃がすための明かり窓なのです。
丸窓の有無は新製された時点では右表のように区分されましたが、特に丸窓付きの車輌では丸窓なしのドアに交換 (新たに
作ったものか、廃車流用品かは不明) したものも多く、大半の車輌では丸窓は見られなくなりました。この理由は明るい
ホームで多くなったことも一因ですが、丸窓が蹴られて割られてしまうためとする説の方が大きいと思われます。写真1-3では
破損した丸窓を埋めてしまったもので、このようなドアは決して珍しいものではなかったようです。
また、JR東日本の車体更新車輌ではドアも新しいものに取り替えられ、写真1-4のようにHゴムなしでタブレット柵の窪みも
なくなり、前扉・後扉ともに共通のものとなりました。
なお余談として、ドアのガラスに書かれていた文字も製造年度による違いがありました。文字なし、「自動開閉」、
「自動ドア」の3種類がありましたが、晩年はガラスの交換などでほとんどが文字なしとなりました。
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なし |
自動開閉 |
自動ドア |
|
なし |
自動開閉 |
自動ドア |
キハ28 |
1〜342 |
343〜356 |
357以降 |
キハ58 |
1〜521 |
522〜548 |
549以降 |
キハ27 |
1〜107 |
なし |
108以降 |
キハ56 |
1〜116 |
なし |
117以降 |
キロ28 |
1〜124 |
125〜144 |
145以降 |
キロ26 |
1〜103 |
なし |
104以降 |
キロ27・キロ58・キハ57・キハ28・58-800番台は省略 |
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丸窓なし |
丸窓あり |
キハ28 |
1〜203 800番台 |
301以降 |
キハ58 |
1〜312 800番台 |
401以降 |
キハ27 |
1〜56 |
101以降 |
キハ56 |
1〜47 |
101以降 |
キハ57 |
全車 |
なし |
キロ28 |
1〜85 |
101以降 |
キロ26 |
1〜18 |
101以降 |
キロ27 |
全車 |
なし |
キロ58 |
なし |
全車 |
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1-1. 初期原型ドア (左-後部 右-前部) |
1-2. 後期丸窓ドア (左-後部 右-前部) |
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キハ28-2002 |
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キハ58-1047 |
1-3. 丸窓を埋めた後期ドア (左-後部 右-前部) |
1-4. JR東日本の車体更新車輌のドア (前部) |
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キハ28-2392 |
キハ58-677 |
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A タイフォン |
車輌の「顔」において、最も変化のある部分がこのタイフォンです。模型の場合でも比較的簡単に改造が
できるため、ちょっとしたアクセントや違いを出すには手ごろな部品です。
写真2-1は原型のスリットタイプです。写真2-5のものと似ていますが、2-5はシャッターを撤去したもので
排水溝のフタのような形が特徴です。原型は中心線上の下方向にのびているのが見分けるポイントです。しかし、スリットでは
雪がつまってならなくなる事があり、そのための対策が採られるようになりました。
写真2-3はスリットの前に傘状のカバーをかぶせたものです。これはまさにカバーをかぶせただけですので、最も
簡単な改造でした。
写真2-4は1枚蓋のシャッターを取り付けたものです。このシャッターは北海道の車輌にも見られますが、主に
東北地方でよく使われたタイプです。そもそもタイフォンシャッターは空気圧でフタを開閉するため、タイフォンの上部に
ある箱状の物の中に配管が通されています。配管がない場合は写真2-4のように取り付け位置がずれている事があります。
逆に温暖な地域ではシャッターは必要なく、写真2-5のように撤去されたものも多くありました。四国では原型
タイプとなっていましたが、JR西日本とJR九州ではこのような排水溝のフタ状のものが使われていました (国鉄時代は
原型スリット)。
しかしこれらの車輌が再び寒冷地に向かうとまたもや雪詰りの問題が出てきました。そこで写真2-6のように、
スリットの前に目の細かい網を貼り付けたものが登場しました。目立つ場所での例はあまりありませんが、キハ10系など、
床下にタイフォンがある車輌ではこのようになっていたものもあったようです。
最後の写真2-7は新潟地域によく見られた変形のタイフォンカバーです。タイフォンから円筒形の筒が伸び、その
下部のみが網目状になっていて音が出るようになっていました。タイフォン自体も別の物なのか、音が少し異なっている
印象がありました。
なお、タイフォンシャッター・カバーにはこのほかにも数種類あるものと思われますが、年代や地域 (施工工場) によって
はっきりと決まっているものではないと思われます。スリットとシャッターは新製当時は右表のように区分が出来ますが、
これもごく初期の車輌においてはシャッターありのものも存在しているため、明確な区別は出来ません。もちろん、後年の
シャッター取り付け・撤去もあり、同じ車輌でも年代、地域によって異なっていることも珍しくありません。タイフォンまで
忠実に再現される方は、該当する車輌の再現当時の写真をお探しいただくことをお勧めいたします。
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スリット |
シャッター |
キハ28 |
1〜328 800番台 1000番台 |
329以降 500番台 |
キハ58 |
1〜473 800番台 1100番台 |
474以降 1500番台 |
キハ27 |
なし |
全車 |
キハ56 |
なし |
全車 |
キハ57 |
なし |
全車 |
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2-1. スリット |
2-2. シャッター |
2-3. 傘覆い |
2-4. 1枚ブタ |
キハ58-293 |
キハ28-2346 |
キハ28-2119 |
キハ58-54 |
2-5. シャッター撤去 |
2-6. スノコ防雪 |
2-7. 新潟変種 |
キハ28-2467 |
キハ28-2466 |
キハ28-2371 |
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B バランサー蓋 |
キハ58系の運転台には運転手用の下降窓が取り付けられています。下降窓の場合、窓が一気に落ちるのを
防ぐために「バランサー」という釣り合い装置が設けられています。もちろんこの装置も点検しなければならず、その
点検用の蓋が車内側についていました。しかしATSの取り付けに伴い、その点検蓋の位置にATS機器を設置することと
なったため、点検が出来なくなってしまいました。そこで外から点検できるように車体外に蓋を設置するようになりました。
パノラミックウインドウにモデルチェンジされた際にATS機器の設置場所が変更になり、再び点検蓋は車内側に設置
されることになり、外部の点検蓋は廃止されました。
写真3-2は原型の状態です。本来はこのように外側は何もない状態でした。写真3-2は設置された外側点検蓋
です。この蓋の特徴は4ケ所のネジ止めと下部の隙間です。特に下部の隙間は後述する後付の外部点検蓋と異なる部分となって
おり、T社の車輌の場合この隙間を埋めることで初期車に設定する事が出来ます。
パノラミックウインドウの車輌は写真3-3のように、外部の蓋が廃止されました。これはキハ65でも同様です。
写真3-4写真3-5は初期車輌の外部蓋設置の一例です (3-4の場合は外部蓋設置車ですが、前面補強により
このような形態になったと思われます)。写真3-4の場合は底の部分のみに点検口を設け、写真3-5の場合は
オリジナルの外部蓋と同じ位置と底の部分の2ヶ所に点検蓋を作っています。
最後の写真3-5は外部点検蓋設置車にもうひとつ点検蓋を追加した珍しいパターンです。上が製造当初からある蓋で、
下が新たに設置された蓋となっています。理由は定かではありませんが、このような下降窓では雨水の浸入により窓の底に
あたる部分が腐食しやすいため、その部分の点検用に設置されたものではないかと思われます。
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蓋なし |
蓋あり |
キハ28 |
1〜356 800番台 501以降 |
357〜494 |
キハ58 |
1〜548 800番台 1100以降 |
549〜1052 |
キハ27 |
1〜107 200番台 |
108〜129 |
キハ56 |
1〜116 200番台 |
117〜151 |
キハ57 |
全車 |
なし |
なお、キロについてはATSは関係がないので、外蓋の設置はない。
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3-1. 蓋なし原型 |
3-2. 蓋取り付け |
3-3. 蓋なしのP窓車 |
キハ58-203 |
キハ58-1047 |
キハ28-3014 |
3-4. 後付その1 |
3-5. 後付その2 |
3-6. 追加取り付け |
キハ58-1014 |
キハ28-2119 |
キハ58-792 |
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