特集 キハ58系再発売記念 その2



目次
@車輌ドア
Aタイフォン
Bバランサー蓋
C給水口
D便所窓
E通風器
F尾灯
Gワイパーと手すり
H冷房関係
I標識かけ
J強制通風装置
Kキロの屋根について
LT社の
キハ58・28・キロ28

MK社のキハ58・
キロ28
NT社とK社の違い
OK社のキハ58を
T社仕様に改造

P客室
Q運転台
C 給水口
 キハ58とキハ28の違いは?恐らく即答でしょう。キハ28はエンジンが1つ、キハ58はエンジンが2つ。では外見で 判断するには?床下を見る(エンジン・燃料タンク)。トイレ上の水タンクの有無。そして意外と見つけやすいのがこの 給水口の数なのです。
 エンジンの近くにあるため、これを燃料タンクの給油口と思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、これは エンジン冷却用の水を給水するためのものです。また、便所や洗面所用の水は別のタンクですので、給水口は別にあります。
 1エンジンのキハ28・キロ28などでは製造途中でその位置が変更になりました。理由は定かではありませんし、なぜか明確な 設計変更としても記述されていません。ネット上で公開されている写真から判断すると、39年第3次債務車輌から中央寄りに なったと推定されます。写真4-1はキハ28-2387、写真4-2はキハ28-2401と比較的近いのですが、位置の違いは 歴然としています。なお、2エンジン車については写真4-3のまま、変更はされていません。
 しかし、JR東日本の車体更新車、および機関換装車のほとんどは配管の見直しを行ったため、この給水口はなくなって しまいました。写真4-4はキハ28ですが、初期車の位置 (左矢印) にも後期車の位置 (右矢印) のどちらにも給水口は ありません。同様にキハ58も写真4-5のように給水口は存在しません。
4-1. 端寄りの給水口 
端寄り 中央寄り
キハ28 1〜397
800番台
398以降
キロ28 1〜154 155以降
キハ27 1〜107 108以降
キロ26 1〜103 104以降
キロ27 全車 なし
給水口-端
キハ28-2387
4-2. 中央寄りの給水口
給水口-中央
キハ28-2401
4-3. 2エンジン車の給水口
2エンジン給水口
キハ58-216
4-4. 給水口がない車体更新車(キハ28) 
車体更新車
キハ28-2380
4-5. 給水口がない機関換装車(キハ58) 
車体更新車
キハ58-1529






D 便所窓
 たかがトイレの窓、されどトイレの窓。それぐらいこのトイレの窓というのは注目すべき存在です。模型 製作の上でもポイントになる場合もありますし、実車観察であれば結構面白いものでもあります。
 トイレの窓は外から見えないようになっている、というのは当然のことですが、ある程度の採光を得られたうえで透過 しにくくする方法は度々変更されています。まず写真5-1は波目模様のガラスです。初期の車輌に使用されていた ガラスですが、なぜか後期車輌に使用されています。このようなガラスは廃車流用品なども多く、JRとなってからは こうしたイレギュラーな使い回しもしばしば見られました。なお、このガラスの写真だけは洗面所側ですが、他は全て トイレ側の窓です。
 写真5-2は「石打目」と呼ばれるガラスです。模型で再現されているのもこれであろうと思われます。このガラスは 波目ガラスの生産終了により登場したもので、それだけに5-1の波目ガラスが貴重なものかがうかがわれます。
 パノラミック窓にモデルチェンジする直前から、トイレの窓が写真5-3のような長方形に変わりました。これは トイレの照明が白熱灯から蛍光灯に変わったためで、後期の車輌の特徴にもなっています。なお、この長方形の窓はトイレ のみで、洗面所の方は従来どおりの窓のままです。
 この長方形の窓も最初は半透明のガラスでしたが、途中から写真5-4のような乳白色の合わせガラスに変更されました。技術の発達も ありますが、乳白色にすることでより中の影を見にくくする効果が得られたため、変更されました。
 破損などにより、交換が必要となった際は本来これらのガラスを調達すればよいのですが、その頃にはこれらのガラスの 生産は終了し、この乳白色のガラスのみとなったことから、写真5-5のように元は波目や石打目のガラスであった 車輌も、ほとんどがこの乳白色ガラスになっていました。もちろん、前述のように廃車流用品などで調達することもあった ようですので、一概にこの時期の車輌だからこの窓、ということは言えないようです。
波目 石打目 長方形透明 長方形乳白
キハ28 1〜414
800番台
415〜485 486〜494
1501〜1504
1001〜
1505〜
キハ58 1〜654
800番台
655〜793 794〜1052
1501〜1511
1101〜
1512〜
キロ28 1〜163 164〜195 196〜204 301〜
501〜
キハ27 1〜112 113〜124 125〜129
201〜203
204〜
キハ56 1〜120 121〜137 138〜151 201〜
キロ26 1〜104 105〜107 なし 201〜
キハ57 全車 なし なし なし
キロ27 全車 なし なし なし
キロ58 全車 なし なし なし


※ 余談であるが、修学旅行用の800番台は、洗面所の窓が一般型とは異なり、位置がやや高くなっている。
 これは洗面台の 向きと形状が異なる (2人用になっている) ため。
5-1. 波目ガラス 5-2. 石打目ガラス
波
キハ58-1026 (これだけは洗面所側)
石打
キハ58-717
5-3. 後期車透明ガラス 5-4. 後期車乳白色 5-5. 交換乳白色ガラス
後期透明
キハ58-15xx
後期乳白
キハ58-1132
乳白
キハ28-2409






E 通風器
 本来キハ58系は非冷房で登場しました。JRとなってからも非冷房のキハ58系は北海道のキハ56・27以外にも 相当数が残っていましたが、JR発足10年のころにはそのほとんどが淘汰されていました。初期の車輌は通風器が6個設置 されていましたが、デッキでの通風を確保するために2個増設され、8個となりました。しかしこれも長く続かず、モデル チェンジによって通風器自体が廃止され、客室内の空調は強制換気に変更されました (ただしデッキ部分はガラベンに変更の 上で残置)。
 そのため通風器を8個装備した車輌は多くなく、しかもキハ58の場合は水タンクの脇に設置されていたのが左右どちらなのか すらはっきりしない状態です。さらに冷房化や車体更新など、後の改造によって客室側の通風器は残っても、デッキ部分のみが 撤去されることも多く、ことさらキハ58の後部デッキのものは排煙が入るためなのか早々に撤去された模様です。
 写真6で矢印で指している部分が増設された通風器です。
 なお、キロに関してはもう少し複雑な経緯を辿っています。
6個 8個 デッキのみ
キハ28 1〜414
800番台
415〜494 501以降
キハ58 1〜654
800番台
655〜1052 1101以降
キハ27 1〜112 113〜129 201〜217
キハ56 1〜120 121〜151 201〜214
キハ57 全車 なし なし
6. 8個通風器
8個
キハ28-2492






F 尾灯
 尾灯は模型では大変小さなパーツであり、その再現は困難を極めます。しかし実車を見るとその形状の 違いは大きな興味を引き、固有の調査の対象にもなります。
 ちょうどキハ58系は尾灯の変化の過渡期にあたったため、このような変化が生じています。その変更点とは、尾灯の電球を 車体の中と外、どちらから取り替えるか、というものです。最初は電球を車体の中、つまり運転台のほうから取り替える 方式でした。それが写真7-1に示す「内バメ式」というものです。奥行きの短さと周りのネジが特徴です。
 しかし、暗く狭い運転台の中で小さな電球を交換するのは結構大変な作業であったため、作業の効率化のために 外から交換する方式に変えられました。写真7-2がその方式で、「外バメ式」と呼ばれています。奥行きが 長くなり、台座がなくなったため外観はスッキリとしています。
 このほか、写真7-3のように、内バメ式の尾灯を外バメ式に改造したものもあり、この改造も尾灯のどちらか一方 のみということもあり、キハ52など両運転台の車輌ではより多岐にわたっています。
内バメ式 外バメ式
キハ28 1〜437
800番台
438以降
キハ58 1〜733
800番台
734以降
キハ27 1〜118 119以降
キハ56 1〜124 125以降
キハ57 全車 なし
7-1. 内バメ式 7-2. 外バメ式 7-3. 内バメ改造
内バメ
キハ28-2346
外バメ
キハ28-2466
内バメ改
キハ28-2309

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