急行「アルプス・八ヶ岳」について |
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模型の各車輛のディテールを見る前に、キハ28とキハ58の主な特徴的な部分について一覧でおさらいをしておきます。
なお、今回新たに追加される項目がありますが、それはその項目のところで解説・分類いたします。なお、各部分についての
解説は前回の特集 (リンク先) をご覧ください。
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キハ28 |
扉丸窓 |
タイフォン |
バランサー蓋 |
給水口 |
トイレ窓 |
通風器 |
尾灯 |
1〜203 |
なし |
スリット |
なし |
端寄り |
波目 |
6個 |
内バメ |
301〜328 |
あり |
↓ |
↓ |
↓ |
↓ |
↓ |
↓ |
329〜356 |
↓ |
シャッター |
↓ |
↓ |
↓ |
↓ |
↓ |
357〜397 |
↓ |
↓ |
あり |
↓ |
↓ |
↓ |
↓ |
398〜414 |
↓ |
↓ |
↓ |
中央寄り |
↓ |
↓ |
↓ |
415〜437 |
↓ |
↓ |
↓ |
↓ |
石打目 |
8個 |
↓ |
438〜485 |
↓ |
↓ |
↓ |
↓ |
↓ |
↓ |
外バメ |
486〜494 |
↓ |
↓ |
↓ |
↓ |
長方形 |
↓ |
↓ |
1001〜1024 (3001〜3024) |
↓ |
スリット |
なし |
↓ |
長方形 (白色) |
デッキのみ |
↓ |
501〜504 |
↓ |
シャッター |
↓ |
↓ |
長方形 |
↓ |
↓ |
1505〜1510 (2505〜2510) |
↓ |
↓ |
↓ |
↓ |
長方形 (白色) |
↓ |
↓ |
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キハ58 |
扉丸窓 |
タイフォン |
バランサー蓋 |
トイレ窓 |
通風器 |
尾灯 |
1〜312 |
なし |
スリット |
なし |
波目 |
6個 |
内バメ |
401〜473 |
あり |
↓ |
↓ |
↓ |
↓ |
↓ |
474〜548 |
↓ |
シャッター |
↓ |
↓ |
↓ |
↓ |
549〜654 |
↓ |
↓ |
あり |
↓ |
↓ |
↓ |
655〜733 |
↓ |
↓ |
↓ |
石打目 |
8個 |
↓ |
734〜793 |
↓ |
↓ |
↓ |
↓ |
↓ |
外バメ |
794〜1052 |
↓ |
↓ |
↓ |
長方形 |
↓ |
↓ |
1101〜1143 |
↓ |
スリット |
なし |
長方形白色 |
デッキのみ |
↓ |
1501〜1511 |
↓ |
シャッター |
↓ |
長方形 |
↓ |
↓ |
1512〜1534 |
↓ |
↓ |
↓ |
長方形白色 |
↓ |
↓ |
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C模型-キハ58-400初期車の考察
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パッと見ただけでは大きな違いは見当たりません (まぁ、キロ58以外はそうなのだが...)。けれど細部を見ると違いが分かってきます。
その細部を点検した (重箱のスミをつつく、とも言う) 結果、点数は95点!あともう少し、というところです。なお、単品のキハ58-400は
70点ぐらいでしょうか?(←鬼のような採点) K社のほうに比べれば高得点、ということで...。
なにはともあれ、その減点ポイントをチェックしてみます。 |
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はっきり言って細かすぎるところなのでどーでもいーじゃないか、という声が聞こえてくるかもしれないのですが、実は正式に
変更がなされている部分で、番号区分もわかっているところですのであえて取り上げます。
青い四角で囲んだ部分はバランサー点検蓋の部分で、これはちゃんとない状態になっています (忘れていましたが、上の車輛がセットの
キハ58-400、下が単品のキハ58-400です)。しかしここで注目するのは緑の矢印部分。...と言ってもよくわからないと思いますが、
実は運転台の窓の上にある「水切り」が窓の後ろ縁に沿って下りているのがモールドで再現されているのですが、実はこれが減点ポイントなのです。
セットで再現したキハ58-400(初期)の時期においては、この水切りが下までなく、窓の上端にある角のRまでとなっていたのです。
この変更は昭和38年度利用債からで、それに該当するキハ58は522と523となります。つまり模型で再現した「アルプス・八ヶ岳」に該当する
キハ58の401〜411まででは、水切りは下がっていないのです。(なお、他の形式については以下の表を参照のこと)
水切り位置 |
上縁まで |
下まで |
キハ58 |
521まで |
522以降 |
キハ28 |
342まで |
343以降 |
キハ56 |
116まで |
117以降 |
キハ27 |
107まで |
108以降 |
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これを実車の写真で確認してみます。
上の画像はキハ58-139で矢印の部分には水切りはありません。
一方、こちらはキハ58-774で、水切りが下まで伸びているのがわかります。模型はこのパターンになっています。
ところで、前面強化や特別保全工事、車体更新や車体延命工事によって、この水切りに変化が生じている場合があります。特にJRと
なってからはその傾向が顕著となっているようです。
変形・その1は、水切りが窓の上部のみとなっているパターンです (キハ28-2119)。これはJR西日本のみで見られることから、JR後の
施工かもしれません。変形・その2は極めて特殊なケースで、下まで伸びるはずの水切りが途中で途切れています。これきキハ58-677で確認した
ものですが、他にこのような施工がなされているかは不明です (なお、反対側も途中で切れています)。一番多いのは水切りを撤去してしまった
パターンです。東日本の車体更新車、西日本、四国、九州と各地で見られます。また、この窓周りの水切りは残っているものの、前面の水切りのみ
撤去したパターンもあります。
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このように目くじらを立てていますが、窓の淵ということや塗装の関係、またモールドもそれほど目立つものではないので
無視してしまえば別にどうということではないのですが、どうしても気になる場合はナイフで削り落として色を載せてしまえば済む簡単な改造
ですのでお試しください。
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もうひとつ残念なところは、後部妻面の標識かけが逆T字ではなく、I字のままということです。おそらくその部分の金型には
手を付けていなかったものと思われ、並べて比較すると全く同一ということがわかります (並べた写真は富士急キハ58の項で)。
実は、この部分はこの特集を作成するために写真を撮り、加工する過程で発見したものです。つまり、それだけ細か〜いことですので
T社さんが“見落としていた”としても仕方がありません。果たしてどれだけの人がこれに気がつくのでしょうか?これに気がついて、
文句を言う方がどうかしているんです (ということでいいですか?)。
なお、標識かけの番号区分、および解説についてはこちらを
ご覧ください。
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けれど、文句ばかり言っても仕方ありません。いい部分もどんどん紹介していきましょう。
なんと言っても前面の違いです。矢印で示した部分がその違いですが、タイフォンシャッター、尾灯、標識かけが見事に作り替えられています。
すでに述べたところではバランサー点検蓋も大きな違いです。これだけを改造して修正するのは結構大変です。細かい部分である上に
塗装もし直さなければなりません。この状態であればドアの丸窓を埋めれば0番台にすることもできますし、ドアを他車から流用したと
設定すればそのまま使うこともできます。ただ残念なのはこれがセット売りであること。いっそこれを「新・キハ58-400」として、従来の
キハ58-400に通風器を追加して「キハ58-700」とできないでしょうか...。なんだかMi社みたいな売り方になってきますが。
なお、セットに付属のインレタですが、セットで再現している時期が1974年となっていることを考えると、58-401と58-414、58-421は
「アルプス・八ヶ岳」では使えませんのでご注意を〜。
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D模型-キハ28-2500の考察
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キハ28-2500もパッと見ただけでは3000番台と大きな違いは見当たりません。けれどこの2500番台の特徴的な部分はちゃんと再現しています。
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その違いがこれ。冷房用発電装置の再現です。この2500番台ははじめて4VKが搭載された車輛で、新製時から冷房化された車輛でした。
なお、登場時は「冷房準備車」と区別するため1500番台となっていましたが、他のキハ28にも4VKが搭載され、該当車輛に2000番を加えることと
なったため、これにあわせて2500番台となっています。
それで2500番台と3000番台ではこの4VKがどう違うのか、ということになりますが、簡単に言えば「向き」です。4VKは発電用のエンジンと
発電機が一体となって枕木方向 (横向き) に取り付けられているのですが、これが左右逆だったのです。また、エンジンの位置が逆になることで
エンジンへの空気を取り込むルーバー (吸気口) の位置も左右逆になっています。
左の画像で黄色い四角で囲んだ部分がその部分です。それぞれ左右反対になっているほか、ルーバーの形状も忠実に再現されています。
床下の丸いものが発電機、四角い網目状のものが発電エンジンのラジエーターです。余談ですが、寒地向け1エンジン車の水タンクも違いがあり、
これもちゃんと再現されています。
なお、3000番台のルーバーは当初平窓車と同じ形状でしたが、のちに2500番台と同じ大型のものが窓の間に設けられるようになりました。
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前面の変化は微々たるものですが、「寒地向け」を証明するパーツなのでこれを欠くことはできません。平窓車の後期型はすべてタイフォン
シャッターが付いた状態で製造されていましたが、モデルチェンジと同時に暖地向け (キハ28-1000→3000・キハ58-1100) についてはもとの
スリットタイプに戻すことになりました。一方寒地向け車輛については、引き続きシャッターつきとなりました。
最後にキット付属のインレタですが、松本配置車は2505〜2508で、2509と2510はこの当時長野配置となっていましたので「アルプス・八ヶ岳」
編成の再現には使用できません。
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E模型-キロ58の考察
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「新規金型で製作」とあっただけに、期待が最も大きかったのがこのキロ58です。この画像を見ただけでもキロ28-2300とは大きく異なるのが
よくわかります。ただ、これぐらいであればキロ28を改造すればそれなりの出来に仕上がると思いますが、そこは新規金型で製作しただけあって
手抜かりはありません。その細部について以下で説明いたします。
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まずは赤枠で囲った部分についてご説明します。キロ28との大きな違いは床下機器と屋上の水タンクです。キロ58は2エンジンのため、キハ58と同様
床下に水タンクを設置するスペースがなく、これがキロ28とキロ58との違いにおいては大きなポイントとなります。車体構造も、当初は非冷房だった
初期の車体ですので、屋根には平窓キハと同様に通風器が乗っています。また、全車がそうだったかは不明ですが、搭載されているAU13 (クーラー) も
初期の角ばったものが使用されており、それがちゃんと再現されています (実車では1と3で確認)。
と、ここまでは比較的簡単に改造できる部分ですが、青枠で囲んだ部分にご注目ください。2エンジンになると、当然機関冷却用の給水口も2か所に
なるのですが、これを再現するのにはちょっとテクニックが必要になります。そして一番の問題がトイレの窓です。T社のキロ28の場合、2300番台ですので
トイレの窓が横に細長い長方形になっています。一方キロ58を含め初期のキロのトイレの窓はこのような正方形に近い形状のもので、これを再現するのは
かなり困難です。
他にも、キロ28には発電ユニットがあるため、発電エンジン用のルーバーがあり、通風器の代わりに新鮮な空気を強制的に取り込む吸気口も設置されて
いるため、これも埋めたり削ったりしなければなりません。
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妻面を見てみると、さらに細かいこだわりが伝わってきます。妻面の引戸はキロ28-109以降に設けられたもので、初期のキロ28には設置されていません。
この変更はキロ58の製造と同じ時期にされましたが、キロ58には適用されていません。また、キハ58-400では見落とされていた標識かけも、ちゃんと
逆T字になっています。さらに細かいところでは、銘板が3つ並んでいるところがあげられます。通常銘板は「日本国有鉄道」と製造年・製造所の入った
銘板が取り付けられていますが、このキロ58の場合はもう一つ銘板が付くのです。それは冷房改造の銘板で、これはキロ58に限らず冷房改造を受けた車輛
すべてに取り付けられています。ここまで再現するとは、まさに脱帽です。
ところでさきほど非冷房車だった初期のキロは車体断面が異なると書きましたが、その違う部分というのがこの車体上部です。
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K社のキロ28-0、T社のキロ28-2300、そしてキロ58を並べてみるとその違いがよくわかります。初期型車両のK社キロ28とキロ58の断面が
ほぼ同じであるのに対し、キロ28-2300は若干屋根の頂上部が平べったくなっています。これが車体断面の違いです。そもそもキハ58系にAU13を
取り付ける際、屋根高の関係から車内側に食い込んだ状態 (60mm程度) になったため、冷房準備車となったキロとキハについては屋根の高さを60mm
低くしました。そのため車体断面形状も若干変わり、このような違いが生じています。この違いに関してはもはや改造でどうにかなるものではなく、
新規金型の威力は絶大です。
このように100点満点の出来のキロ58ですが、模型としてはいかんせん実車同様使い勝手が悪い (配置・時期が限られる 数が少ない) のが
泣き所です。最後にインレタ情報としては、1〜6が用意されていますが6は1972年度に長野に転属となったため、使用する際は注意が必要です。
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