キハ58の北海道バージョンであったのがキハ56です。キハ58の場合北海道で使うことは耐寒装備の関係上問題があり、耐寒性能を強化した設計となりました。その番号からもわかるとおりキハ58より前に製造が開始され、初期の5輌はヘッドライトの位置、運転窓下の手すり、すそ絞りの形状などに違いのある車輌でした。
強化した耐寒装備は次のようなものがあります。
- 窓の高さを100mm小さくし、その内側に木製窓枠の窓をつけた二重窓とした。
- 床を木張りにした
- エンジンに覆いをつけ、ドアレールにも暖房をつけた。
特に小さな窓と木張りの床は北海道用のキハ27・56の特徴にもなっています。このような装備のため車内は一見キハ22と区別がつかなくなってしまいました。なお、製作数が少ない割に制作期間は長く、キハ58と同様モデルチェンジが行われ、200番台を名乗りました。
キハ58より先に製造されたキハ56ですが、活躍の場が北海道に限定されたこともあり製造数自体はのびず、100輌を少し上回る程度にとどまりました。しかし道内で急行として活躍し、特に1969年には特急「北斗」に使用するキハ80系が不足したため、当時製造されたばかりの200番台とキロ26の200番台が値引き特急として使用されました。時には特急にまでなったキハ56も急行の廃止、格上げにより晩年はローカル輸送で活躍し、一部の車輌はキハ53の500番台に改造されました。0番台は国鉄の段階で廃車され、JRに承継されたものはキハ53に改造されたもの以外ありません。100番台と200番台も2エンジンの強みから、ローカルのみならずマヤ検に使用されるなどJR後もしばらく活躍していましたが、次第に廃車が始まり100番台は2000年に、200番台とお座敷車に改造された500番台も翌年全て廃車されました。
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