キハ09(旧)車両概要

キハ09(旧)について
 キハ09(旧キハ44000)は今後の気動車の動力伝達方式を探る試作車として登場した車輌で、「電気式」の車輌として登場しました。「電気式」とは、エンジンで発生したエネルギーを発電機で電気に変え、その電気を使ってモーターで動かす方式で制御方式などは電車に似ていました。なお、このキハ09において、モーターからの動力伝達方式は釣掛式ではなく直角カルダン式が使われていました。これは国鉄において電車を通じても初めての試みでありました。
 車体は湘南型と呼ばれる前面(80系電車に類似した大形の傾斜した2枚窓で埋め込み型のヘッドライトがつく)で乗降口は3ヶ所となっており、乗降口付近を除き全てクロスシートとなっていました。昭和27年に4輌が1次車として登場し、翌年に2次車が11輌登場しましたが、この1次車との違いは窓と前面のスカートです。1次車の窓は客車や湘南電車と同様の1段上昇の窓でしたが、2次車ではキハ17系の特徴であるいわゆる「バス窓」に変更されました。スカートについては1次車はドアステップの下部にあわせた外板を前面までもってきていたのに対し、2次車ではドアステップの部分のみ外板を下げ、乗務員室扉あたりで他の部分と同じ高さに戻されていました。
 数々の画期的な装備で従来の気動車像を打ち破ったキハ09ですが、「電気式」は重量が重い反面出力が弱く、コストが高いうえ保守も大変であることから「液体式」が今後気動車の動力伝達方式に採用されることになりました。その後「電気式」は気動車では見ることはできなくなりましたが、ディーゼル機関車ではDF50やDF54、そしてDF200で使用されています。近年ではエンジンやモーターの性能が向上し、バッテリーの技術も飛躍的に発展したことから、エンジンと電気の両方を利用したハイブリッドタイプの車輌も試作されています。そういった意味ではこのキハ09はこれらの原点に立つ車輌といえるでしょう。


性能
全長
全幅
全高
重量
定員
20000mm
2728mm
3690mm
35t
124人
エンジン・モーター
出力
台車(動台車/従台車)
便所
デッキ
DMH17A×1・MT45×2
150馬力・45kW×2
DT18/DT18A
なし
なし
製造期間
製造輌数
消滅年
保存
1952〜53年
15輌
1958年
なし

関連車両
キハ15
キハ19
キハユニ15