Kさん。またですか?

 Kさんがまたやってくれました。やってくれましたよ。またもや。Kさんからまたもやキハ58系の再発売です。何の変更もなしに。 念のためですが、ここで言う「Kさん」とは鉄道模型会社のK社のことです。のちに出てくるTさんとは、同様に鉄道模型会社のT社のことです。 あしからず...。

 数年前にもKさんはキハ58系の再発売をしましたが、このときもTさんの発売にあわせての発売でしたが、今回も同様です。ただ、前回の 再発売のときは前照灯・尾灯のLED化など小さな改良が行われました。けれども今回は何ら改良は行われず、前回のモデルのままの再発売と なっているようです。一方Kさんの発売欲をかきたてた (?) Tさんの発売品はというと、「急行アルプス」の編成でキハ58以外は全て何かしらの 改良が行われている車輌ばかりです。特にキロ58などは完全に新規の金型ということで、キハ28-2500やキハ65-500も既存の車輌との違いを ちゃんと表現されているようです。また、富士急行のキハ58も同時に発売ということで、こちらも注目の車輌です。それに乗っかるような形の Kさんの車輌は相変わらずのツッコミどころ満載のまま、発売されるようです。 催事の特集でも述べましたが、キハ28については特に大問題が残ったままに なっています。キハ65は合格。キハ58とキロ28についてはなんとか合格としても、キハ28については完全にアウトです。床下機器がちゃんと作られて いるだけにこの間違いは決定的です。Kさんにとっては、車体に多少の違いがあっても、生産性のほうを重視して全て同じとするのでしょうか? 以前「キハ56系2輌セット」というのが発売された事がありましたが、それはまぎれもなく窓の高さが違うキハ58の車体そのもので、それに非冷房の 屋根をつけただけというシロモノでした (ペアになっていたのがキハ27だったか同じキハ56だったかは忘れました)。そのような荒業 (?) を やってのけるKさんですから、キハ28にキハ58の車体を載せることぐらいどってことのない話なのかもしれません。
 ついでに言ってしまいますと、このようなリサーチの甘さは“Local-Sen”シリーズとして発売されるキハ20系にも言えます。 これはある意味伝説的な車輌となりつつあるキハ20系を、朱色の標準色のキハ20+25編成と紺色の旧標準色のキハ20+キハユニ26編成で発売するのですが、 このうち旧標準色のセットで発売されるキハユニ26が問題なのです。この旧標準色で製造されたのは1959年8月までで、これに該当するキハユニ26は 一応あるのですが、わずか8輌にすぎません。これがキハ25であれば32輌と、まだ許容範囲だったのですが、なぜわざわざこんなにもマイナーな選び方を したのかがわかりません。そのあたりのリサーチの甘さも「Kさん、しっかりして下さいよ」と言いたくなります。新製品には存分に力を入れるが、一度 金型を作ってしまえばあとは野となれ山となれ...なのでしょうか?なお、Kさんのキハ20系については 以前の催事で紹介していますので、こちらをご覧になって参考にして下さい。

 Kさんの模型は価格で有利ですが、模型としての再現性については古いモデルほど悪くなります。最近の発売品についてはちゃんと再現がされていますが、 古いモデルについては大きなリニューアルはよほどの事がない限り行われないようです。昔ならばこれでOKだったかもしれませんが、他社でより忠実な 模型が開発され、実車の違いなどの情報も簡単に手に入れられる時代になり、その誤りがわかるようになったにもかかわらず、何も変更することなく しかも他者の発売に便乗する (今回の場合は出し抜きと言った方がいいか?) 形で発売するのがKさんのやり方なのでしょうか。 技術的に無理なわけでもなく、資料がないわけでもなく、ただ金型を新しく作る事を惜しんでいるだけなら、それは得体の知れない車輌を発売しているだけ にすぎません。多少の模型経験があればそのようなことを承知で購入される方もいらっしゃるかもしれませんが、ビギナーファンにそのような車輌を 売りつけてはいけません。
 キハ20系はともかく、キハ28だけはなんとしても金型の変更、新規作成をお願いしたいものです。できるならばキハ58も一部改良して いただければ...と、欲を言えばつきません。...となると、今回のタイトルは少し変えなければなりません。今回のタイトルは
「Kさん。まだですか?」...と。

きはゆに資料室長