特集 T社キハ20系発売記念 その2



目次
@キハ20・25・キハユニ26の注意点
Aキハ22の注意点
B改造用パーツ
C実車の装備例
T社キハ20系をグレードアップさせる

B 改造用パーツ

 今回発売されたT社のキハ20系の出来はすばらしいものですが、実車のリアルさをより追求される方ならば何らかの改造を したくなると思います。そこで比較的簡単に出来る改造をパーツとともに紹介させていただきます。改造自体は比較的簡単ですが、 この改造には0.3〜0.5mmのドリルビット (ドリル刃) が必要となものもありますので、パーツを購入される前にお手持ちの 道具類をご確認ください。


タブレットキャッチャーの取り付け

 比較的簡単に取り付けられ、インパクトの強いパーツがタブレットキャッチャーです。キハ20系ではキハ22に特に多く取り 付けられ、逆にキハ20、キハ25ではほとんど取り付けられていません。キハユニ26ではごく少数に取り付け例があります。
 北海道の車輌のタブレットキャッチャーは本州の物とは少し違い、腕の下に棒が出ています。また、キハ22ではこのように 前面から若干はみ出る感じになります。
 現在発売されているタブレットキャッチャーのパーツは「銀河モデル」から発売(N-093 20ケ入り定価363円)されていますが、 「カワマタ」というメーカーからも発売されています。こちらは取り付け座や腕を固定する部品からなっており、より忠実に出来て います。ただ、「カワマタ」製の製品は入手が困難なうえ価格もやや割高なので、以下の作例でご判断ください (作者の腕が イマイチですが...)。
 エッチングパーツというのは銀河と同様ですが、台座からあるためパーツがかなり細かくなっています。なお、これは使用中の ものでして、本来は一切無塗装の状態です。もちろん、パーツの欠けもございません。パーツの大きさなどは1円玉と比較して ください。 内容は気動車用のタブレットキャッチャーが10組20ケ、DD51、DE10などのディーゼル機関車用が3組6ケ入っています。 もちろん、北海道仕様にも対応できており、その点でもおすすめです。

 この矢印の部分で指したのが「カワマタ」製のタブレットキャッチャーです。作例はキハ57ですので台座を赤11号という極めて 入手困難な塗料で塗る必要がありましたが、キハ22の場合はクリーム4号となります。これの製作には極めて細いドリルビットが 必要となりますので、その点もご注意ください(上記説明書参照)。
 「カワマタ」にはほかにもこのようなセットもあります。このセットではキハ58系の後期車、いわゆるパノラミックウインドウ の車輌用のタブレットキャッチャーと、キハ22の回転式タブレットキャッチャー (ほかいろいろ) が入っています。この回転式タブレットキャッチャー とは、旭川局管内のキハ22によく見られたもので、使用時以外はタブレットキャッチャーの腕を跳ね上げることが出来るものです。 実車の写真はyossiの青春さん でご覧いただけます (yossiさんありがとうございます)。

 この作例はキハ58ですが、実際キハ22でもこのように少し前にはみ出ているので、リアルさを追い求めるならばこちらの方を お勧めします。このP窓用は3輌分、撤去後の右側台座も4輌分あり、キハ22のほうは2.5輌分あり、撤去済み車輌用の台座も1.5輌 分入っています。ほかにもドアの取っ手なども入っていますので、腕に自信のある方なら決して損だと感じないと思います。

 先ほどから解説しているように、キハ22、特に北海道のキハ22にはいくつかの種類のタブレットキャッチャーが装備されて いました。ひとつは本州型とほぼ同一の物、次に旭川局などで使用されていた回転式のもの。そして最後に、蒸気機関車などで 見られた独特の物が装備された車輌がありました。
 これは機関車での装備例ですが、このようなタブレットキャッチャーが取り付けられたキハ22も存在しました。ただ、実際に 装備した車輌数はあまり多くないようで、あまり見かけません。Cで紹介する実車での装備例でも1輌しか確認できていません。 「銀河モデル」から蒸気機関車用として発売 (N-360 定価525円 18ケ9組入り) されていますので、このタイプの車輌にする 方は、こちらを取り付けてください。
 また、「カワマタ」ではこのようなセットも発売されています。タブレット保護柵は「銀河モデル」や「タヴァサ」でも発売 されていますが、いずれも客室ドア用で、北海道のキハ22、40、56系などに見られる乗務員扉についているものはありません。 しかし「カワマタ」ではこの乗務員室扉の保護柵も発売されています。
 なお、私は以上に紹介した3つにもう1種類を加えた4種類のパーツセットを購入いたしました。価格はそれなりのものになり ましたが、決して損をした気分にならない充実した内容です。入手困難(公式ホームページがないなど)という点を除けば満足の できる内容ですので、腕に自信のある方はチャレンジして下さい。

タイフォンの改造

 続いてはタイフォンの改造です。こちらも多少穴を開けたり接着剤でくっつける程度でできるお手軽な改造ですが、それなりに 個性が出せるのでおすすめのひとつです。今回のキハ20系では一般的な2枚蓋のタイフォンシャッターとスリットタイプが選択 できるようになっており、とてもうれしい内容になっていますが、実際タイフォンシャッター類はこの2種類だけにとどまって いません。代表的な物として下に3つあげています。

 まず@はスリットタイプのタイフォンカバーをシャッター付きに換えた、またはタイフォンを増設した場合に見られる1枚蓋の タイフォンシャッターです。このタイプはキハ20系にとどまらず、キハ10系(南部縦貫キハ104ほか)、キハ58系(キハ58-54ほか)、 455系(クハ455-74ほか)、113系(クハ111-7705ほか)など、多数の車輌に使用されています。主にキハ20やキハ25のうち、寒地へ 転属になった車輌に装備されている場合が多いです。
 次にAは勝手に「福鉄型」と呼んでいるタイプで、福知山周辺の車輌に多く見られたタイプです。1枚蓋型の変形ですが、かつて 新潟のクハ68などのように先がとがっているという特徴があります。このタイプはヘッドライトの脇の場合が多く、キハ58系など タイフォンが下にある車輌ではほとんど見られません。
 Bは極めて簡単、かつ単純なもので、スリットタイプのカバーに傘状のカバーを取り付けたものです。ご覧になってお分かりの ように、もとのスリットはそのままに、少し間隔を置いてカバーが取り付けられています。JR九州の475系でもこのようなカバーが 取り付けられていました (この場合は球面状のカバーですが)。

 このほかにも単純な1枚蓋で、タイフォンを鳴らすとパカッと蓋全体が跳ね上がるものもありました (画像がないのと、実例も あまりないため、簡単な説明とさせていただきます)。

 @のタイプは「タヴァサ」から発売されています。大変小さい部品で、折り曲げて形を作ってから取り付けますが、細工を する分よりリアルな仕上がりとなります。なお、ヘッドライトの脇に取り付ける場合は長方形の部分はヘッドライトよりになり ますが、キハ22の位置の場合は長方形の部分は上になります(2枚蓋と同じような感じに)。しかしキハ58系などでは長方形の部分が 両脇になるなど、より細かい観察が必要な場合があります。

K社キハ20系のグレードアップ

 最後に、今回T社のキハ20系が発売されたことにより大きな打撃を受けると思われる(?)K社のキハ20系救済策を紹介しておきます。 仕上がりもいいT社のキハ20系、しかし価格が高くて大量増備はちょっと無理...という場合はK社のキハ20系をグレードアップ されてみてはいかがでしょうか。すでにお手持ちのK社キハ20系をT社キハ20系と並べるとどうしても見劣りしますが、以下の パーツを使い、窓枠を銀色に塗ればそれなりの仕上がりになります。

 K社のキハ20系最大の欠点は「箱」だけの床下機器でした。燃料タンクと水タンクはなんとかそれらしく見えますが、 肝心のエンジンと放熱器が単なる「箱」というのはいただけません! (なお、この時点ですでに窓枠を銀色に塗り、連結器を ボディマウントのTN密自連カプラーに取り替えています)

 これがK社キハ20系の救世主。「ペアーハンズ」から発売されている、その名も「キハ20系グレードアップパーツ」です。 このようなエッチング板と無線アンテナ、信号炎管、初期型排気管からなるパーツで、エッチング板にはエンジン、放熱器、水 タンク、燃料タンク、幌枠、暖房機フタ、排気菅、サボさしなどなど盛りだくさんの内容となっています。1組で1輌分となっていますが、 かなりの出来栄えとなる内容ですので納得出来ます。
 このセットのうち、主に床下機器関係と排気菅(ノーマルタイプ)を取り付けてみました。

 多少ヨゴシ塗装をしていますが、これだけでもかなり立派になりました。


 アップで比較してみると、その違いが歴然とわかります。矢印の部分が取り付けたパーツです(上-改造前 下-改造後)。
 このパーツはあまり流通しておらず、直販での購入が無難な方法ですが、現在品切れの状態です (私が購入して品切れに なりました)。いずれ再生産されるようですが、その際はお早めに購入してください。

C 実車の装備例

 最後になりましたが、鉄道雑誌のなかに登場しているキハ20系の特徴をまとめてみました。主に前面付近を中心に特徴を 書き出し、タイフォンカバーの種類、前灯の形状、タブレットキャッチャーの有無とそのタイプ、塗装とその写真が撮影 された時期とその写真が掲載された雑誌・書籍名をまとめました。もちろんすべての車輌は網羅できなかったのですが、 ある程度の参考にはなると思います。なお、車番がグレーの網掛けになっている車輌はその1で紹介した「何らかの改造が 必要な車輌グループ」です。多少手を加える必要はありますが、バス窓車よりはマシなので掲載しました。
 調査を進めるうちにわかったことですが、キハ10系では最後まで一般色の車輌が多くありましたが、キハ20系などでは 1980年代に入る前から首都圏色の車輌が多くなり、1980年代にはいると一般色の車輌はほとんど姿を消してしまいました。 そのため以下に掲載している車輌の状態を再現するには首都圏色に変更しなくてはならない可能性も多くなりますが、タイフォンの 形状やタブレットキャッチャーの種類はほとんど変化はない (撤去は除いて) はずですし、前灯も原形を保っている車輌は ずっと原形を保っていたと推理できますので、そのあたりはうまく推理・推測をしてご利用ください。

 当方で保有するキハ22の画像もいくつか紹介いたします。
   キハ22-56   キハ22-143 (弘南鉄道)   キハ22-150 (下北交通)

 各項目の略語などは一番下に説明をしています。
車番 前灯 タイフォン タブレットキャッチャー 塗装 写真年 掲載誌 備考
キハ20-212 2シ なし 不明 79-11J
キハ20-222? なし 79.6 80-11F
キハ20-247 ブタ ス? なし 保存車 95-5P
キハ20-256 1シ なし 78.2.3 82-3P
キハ20-267 なし 72.11 94-9F
キハ20-366 1シ なし 四国 90.1.24 95-5P ユニットサッシ
キハ20-400 なし 72.3 94-8F
キハ20-402 1シ なし 81.12.2 82-3P
キハ20-415 2シ なし 85.3.31 85-6J 前面タラコ塗上げ
キハ20-443 2シ なし 保存車 95-5P
キハ20-446 2シ なし 不明 82-3P
キハ20-447 なし 不明 85-9J
キハ20-449 2シ なし 81.6? 81-9J
キハ20-450 なし 81.5.4 82-3P
キハ20-465 2シ 福鉄 なし 水島 94.3.10 95-5P
キハ20-474 2シ なし 82.6.12 83-4P
キハ20-476 2シ なし 不明 86-8J
キハ20-518 1シ なし 86.4? 86-8J
キハ20-519 2シ なし 加古川 87.12.28 95-5P 運転台直後窓
保護柵
キハ22-001 ヒサシ 83.8.16 95-5P 簡易荷物車
キハ22-001 前灯脇
トジ蓋
回転(去) 70ごろ? 仲間たち
キハ22-016 変形2灯 83.3.11 廃線
キハ22-021 なし 59.8.26 95-5P 前灯左
タイフォン
キハ22-031 ヒサシ 79.2 80-11F
キハ22-063 2シ 1フタ増 80.7.29 07-1J
キハ22-064 2シ(朱) 回転 82.5ごろ 日本一赤字ローカル線物語
キハ22-071 ヒサシ 不明 81-9J
キハ22-072 2シ 1フタ増 85.6 85-9J
キハ22-073 2シ 1フタ増 80.7.29 07-1J
キハ22-092 2シ 82.10 83-4J
キハ22-097 2シ 80.8.14 95-5P
キハ22-104 変形2灯 回転(去) 80.5 81-9J
キハ22-107 ヒサシ 85.6.30 85-9・10F
キハ22-109 ヒサシ 89.2.24 95-5P
キハ22-111 72.2.13 95-5P
キハ22-114 2シ 89.2.17 95-5P
キハ22-116 2シ 表紙 76-6J
キハ22-117 2シ 保存車 95-5P
キハ22-128 2シ なし 弘南 88.11.7 95-5P
キハ22-130 2シ なし 弘南 85.11 95-5P
キハ22-131 2シ なし 秋田 86.11.2 95-5P
キハ22-135 ヒサシ 86.7 95-2P
キハ22-137 変形2灯 回転 79.7.15 80-11F
キハ22-140 ヒサシ 82.8 83-3J
キハ22-142 ヒサシ 83.7.29 廃線
キハ22-149 2シ なし 下北 85.1 95-5P
キハ22-150 2シ なし 下北 95-5P
キハ22-160 2シ なし 阿武隈 90.9.14 95-5P
キハ22-201 ヒサシ 80.7.9 80-11F
キハ22-203 ブタ なし 89.6.3 廃線
キハ22-221 2シ 保存車 95-5P
キハ22-239 ヒサシ なし 保存車 95-5P
キハ22-239 ヒサシ 86.7 95-2P
キハ22-253 2シ 82.7.31 廃線
キハ22-258 2シ 回転(去) 81.3.11 81-8J
キハ22-266 ヒサシ 83.4.14 83-7J
キハ22-269 ヒサシ なし 90.9.14 95-5P
キハ22-276 1シ 80.10 81-9J
キハ22-277 ヒサシ なし 盛岡 90.9.14 95-5P
キハ22-283 2シ なし 94.2.8 仲間たち
キハ22-285 ヒサシ 回転 85.3.31 85-6J 前灯塗り
キハ22-301 ヒサシ 回転(去) 82.1.26 82-5J
キハ22-312 回転 77.8.21 77-11J
キハ22-317 ヒサシ 82.9 83-7J
キハ22-319 ヒサシ なし 94.4.7 95-5P
キハ22-324 2シ なし 93.7.27 95-5P
キハ22-331 2シ なし 94.3.24 94-8F
キハ22-332 ヒサシ 回転(去) 83.12 84-7J
キハ22-605 ヒサシ 80.11.30 95-5P
キハ25-218 なし 59.3.7 95-5P
キハ25-233 2シ 福鉄 78.11.9 82-3P
キハ25-246? 2シ なし 不明 86-8J
キハ25-301 2シ なし 85.9.5 95-5P
キハ25-309 1シ なし 80.3.9 95-5 前面補強(箱)
キハ25-312 2シ なし 84.1.11 84-4J
キハ25-651 ス? なし 73.12.16 95-5P
キハユニ26-10 2シ 1フタ なし 85.1ごろ 85-5J
キハユニ26-21 2シ 1フタ なし 81.7.22 82-1J
キハユニ26-34 71.1.17 95-5P 保護棒あり
キハユニ26-36? 2シ なし 83.4.8 83-10J
キハユニ26-39 なし 68.3.28 95-5P
キハユニ26-39 2シ なし 83.12.26 郵便荷物気動車
キハユニ26-55 なし 65.4.26 郵便荷物気動車
キハユニ26-55 2シ なし 不明 84-8J タラコ塗上げ
キハユニ26-56 なし 69.11.22 95-5P
キハユニ26-後期 1シ なし 83.8.16 83-12J 57〜59のいずれか 盛岡車
前灯の略語について
 原-原型  2シ-2灯シールドビーム  ヒサシ-ひさし付2灯シールドビーム
 (朱)としている車輌はライトも朱色で塗られた車輌 (白黒写真のため判別不能も多し)
 1シ-1灯シールドビーム↓     ↓ ブタ-103系に使用されたものと同じブタ鼻タイプ


 変形2灯は「巨大なブタ鼻」という感じで、大型の「ブタ鼻」の中身が取り付けられた感じになっており、もとのライトの 枠から大きくはみ出ているのが特徴。通称は不明。
タイフォンの略語について
 シ-キットのシャッターと同じ ス-キットのスリットと同じ
 1フタ-1枚蓋のタイフォンシャッター  福鉄-福知山タイプのタイフォンシャッター
 傘-スリットの前面に傘状のカバーを取り付けたもの
 トジ蓋-単純な1枚蓋で跳ね上がるタイプ
 増-タイフォンを増設し2つになっている車輌
タブレットキャッチャーの略語
 般-一般的なタブレットキャッチャ 回転-旭川車など回転するタイプ 詳細はこちら
 去-撤去車で痕跡あり なし-取り付けられた痕跡のないもの
塗装の略語
 般-国鉄一般色(朱とクリーム) タ-首都圏色(朱一色・タラコ色)
 その他2文字以上のものは各地方・会社の意味
掲載誌の略語
 P・J・F-それぞれピクトリアル・ジャーナル・ファンの意味、数字は年-月で発売号を指す
 仲間たち-キハ58とその仲間たち Rail Magazin95-4増刊(ネコハプリッシング)
 廃線-鉄道廃線カタログ(新人物往来社)
 
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