特集 T社キハ20系発売記念特集 その1



そもそもキハ20系とは?
 キハ20系はキハ10系の成功を受け、車体拡幅などサービス面でも客車と比較して見劣りしなくなった形式の 気動車です。最初に登場したキハ20、キハ25と北海道用のキハ21、キハユニ25はキハ10系と同様のバス窓でしたが、今回 発売されたキハ20・25の200番台やキハユニ26では二段上昇窓になり、北海道用には耐寒装備を強化したキハ22が登場しました。 パッケージの説明にもあるように、今回発売されたのはキハ20の200〜400番台、キハ25の200番台、キハユニ26とキハ22です。 車番のインレタなども実車に忠実な選択がされていますが、この枠を超えて車番を選択される、または改造をされた方のため に、微力ながら解説をさせていただきたいと思います。
 上からキハ20、キハ22、キハユニ26。納得の出来栄えです。買ったばかりの状態なので、車番はありません。 今後首都圏色(タラコ色)の発売もあるのでしょうか?なお、キハ25は少数派であり、(実車と同様) 運用上問題があることから 今回購入は見送りました。
目次
@キハ20・25・キハユニ26の注意点
Aキハ22の注意点
B改造用パーツ
C実車の装備例

@ キハ20・25・キハユニ26の注意点


 先ほどの説明のように、今回発売されたのはキハ20は200〜400番台、キハ25は200番台となっています。 しかしキハ20にはこのほかにも500番台があり、キハ25にも300番台があります。また、キハユニ26では1〜41が今回発売 されたモデルであり、42〜59は微妙に異なっている部分があります。
 このキハ20-500、キハ25-300、キハユニ26-後期車はどのような違いがあるのでしょうか。これらの車輌に共通する変更点は 2つあります。まず車内の照明が白熱灯から蛍光灯に変わったこと、そして暖房装置が温気式から温水式に変わったことです。 照明については白熱灯の車輌ものちに蛍光灯になったものも多く、キハ20で言えば、200〜400番台を選択される場合はあまり 問題にはならないのですが、500番台を選択される場合は白色の室内灯を選択すべきでしょう。
 次に、暖房装置の変更ですが、この話は以下にまとめてありますので、こちらをご覧下さい。

 この黄色い枠で囲んだ部分が「温気式」暖房装置です。一方、「温水式」暖房装置はキハ22に取り付けられている暖房 で、キハ58系などでも標準装備されるようになる暖房です。キハ20-500番台、またはキハ25-300番台とする場合は、床下機器 に違いが出てきます。


 そこで、キハ22の床下機器をキハ20にとりつけてみます。車体と床板をはずし、台車を分離させ床下機器と客室を分離させ キハ22のものと交換します。このときキハ22についている耐雪カバーをはずしておきます (耐雪カバーのはずし方はキハ22で 解説しています)。台車の集電バネや照明ユニットのスイッチなど、細かい部品が多数ありますので注意して作業を行って ください。
 交換後がこの姿です。青い色で囲んだ部分がもとのキハ20の床板と違う部分です。キハ22では暖房装置も異なりますが、 燃料タンクの容量も違うので、若干問題もありますが、暖房装置の違いに比べれば我慢できる範囲であると思われます。


 このように並べてみると違いがよくわかると思います。上が500番台に簡易改造したキハ20、下が販売状態のキハ20です。 黄色い矢印が暖房装置の違い、青い矢印が燃料タンクの違いを指しています。
 なお、キハ25も同様の理由であるため、このような簡易改造が出来ると思われますが、その場合は照明ユニットなども 交換しなくてはならず、若干手間は増えるものと思われます。


 一方、キハユニ26の場合はこの簡易改造は出来ません。黄色い枠で囲んだ暖房装置の変更はキハ20やキハ25と同様ですが、 キハユニ26は水タンクがないので、水タンクがあるキハ22の床下機器は使えません。また、キハユニ26では青色で囲んだ 通風器の位置が後期型では若干前に移動する (扉にかからなくなる) ため、この点でも修正が必要となります。

 なお、キハ20、キハ25、キハユニ26ともにこれら改造の必要がある車輌はタイフォンシャッターが標準装備となりましたが、 実際のところ、特にキハ20ではタイフォンシャッターを装備していない車輌もあり、一律に「タイフォンシャッターを装備」と 断定できないため、今回はこの部分の記述を見送りました。詳しくはその2の「実車の装備例」をご覧になってください。

 また、キハ20・25の0番台と、キハ20-201〜267、キハ25-201〜232 (キハユニ26-1〜8も?) は旧標準色 (現在キハ52-125で再現 されている濃紺と黄褐色の塗り分け) で登場しましたが、すぐに朱色とクリーム色のいわゆる国鉄一般色に塗り替えられました。 キハ20-206はカラーでこの塗装を確認できています。また、広島に所属されていたキハ20・25の中には、初期のキハ55系と同じ 準急色に塗られていたものもありました (キハ25-249など)。

簡易荷物車について

 キハ20・25ともに車体中央の排気管から前を荷物室にできる「簡易荷物車」というものが存在しました。600番台で区別されて いるこの車輌は、排気管の位置でアコーディオンカーテンで客室を区切り、これより前の客席はロングシートとなって窓には保護 棒が取り付けられていました。キハ20・25ともに600番台は0番代からの改造で再現は不可能ですが、650番台は200番台などからの 改造ですので製作は可能です。製作は窓の内側に保護棒を取り付け、排気管あたりに仕切りのようなものをはさめばだいたいOK だと思います。こだわる方ならば座席をロングシートっぽくするのもいいでしょう。この簡易荷物車は荷物輸送終了後も何輌か 残りましたが、その頃は保護棒は撤去されています。

A キハ22の注意点

2007.8.情報追加

 キハ22のパッケージには説明がされていないのですが、この車輌はキハ22の前期型車輌をモデルとしており、車番で言うと 1〜170に相当します。201番以降の後期型との違いはキハ20-500と同様に客室照明の蛍光灯化のほか、通風器の増設と位置の 変更があります。キハ22でも前期車の照明が蛍光灯になったものもあり、この点では問題はないのですが、通風器は大きな 問題となります。また、200番台の後半からはキハ52と同様に、プレスドアから一枚タイプの物になっています。ほかにもトイレ窓 の高さが変更されたという記述もありますが、見た目ではそれほど変化はないように思われます。   まとめると以下のように なります。
車番 通風器の数 ドア 照明
1-170 6つ プレス 白熱灯
201-245 7つ プレス 蛍光灯
246-317 9つ 非プレス 蛍光灯
318-343 9つ(逆向き) 非プレス 蛍光灯
 今回発売されたキハ22では通風器は6ヶ所ですが、後期車では7ヶ所もしくは9ヶ所になっています。G社のキハ22-700番台 ではこの改造が必要であったため、この後期型の通風器の位置を説明していたのですが、G社では屋根板がフラットでそこに (前期車も後期車も) 穴を開けて通風器を設置するため問題はありませんでした。しかしT社の場合はすでに設置されている うえに、通風器の「足場」もモールドされているため、新たな通風器穴の開削のほかにモールド削りと穴埋めが必要となります。 G社の700番台の説明書に記載されている通風器取り付け (穴あけ) 位置はこのようになっています。

 細かい作業ですが、やってやれなくはありません (穴埋めも必要ですが...)。「中心線から0.5mm」は中心線に輪ゴムを使うと ほぼ0.5mmずつぐらいにずらして位置を決められます。

 以上4種類の屋根板はこのようになります。この屋根板はG社のキハ22のものですので、T社の場合とは若干異なるかもしれません。 すべて上が前 (非トイレ側) となっています。246以降は通風器が9つになっていますが、318からは左右が逆になっています (この 作例では246-317を鏡像にしています ご了承ください)。

 キハ22でも600番台という簡易荷物車が存在しましたが、こちらはすべて200番台からの改造ですので再現は以上の屋根板の 細工が必要となります。しかし、600番台とほぼ同じ改造 (もしくはそれ以上) がされているにもかかわらず、元の車番を名乗って いた車輌もありました。キハ22-1がこの例で、今回発売された車輌で唯一手軽に改造できるキハ22の簡易荷物車です。改造する場合は 前位側の窓に保護棒を取り付け、両側の排気管を結ぶ客室内に仕切り板を取り付ければそれらしくなります。あとはお好みで座席を ロングシートにするなど、手を加えて下さい。

 最後に、今回のキハ22の売り(?)である耐雪カバーのはずし方を説明してゆきます (「売り」の部品をはずすっていったい...)。

 キハ22では冬季、主要機器の保温のためにカバーが取り付けられていました。もちろん冬以外の季節ではこのカバーははずされて いました。今回発売されたキハ22でもこのカバーをはずすことができるように工夫されています。しかしエンジンパーツのように 簡単に取り外すことはできません (本末転倒のような気もしますが...)。このカバーをはずすには結構長い道のりが待って いました。 (余談ですが、カバーをつけた状態ならエンジンがなくてもわからないという利点?もあり、エンジンを他車に流用する ことも可能です)


 このカバーは3ヶ所でとめられており、床板を分離させていない状態ではずすこともかなり無理があるように思われます。無理を してはずそうとすると悲しい結末が訪れる可能性もありますので、以下のような手順で行ってください。
 まず車体と床板を分離させます。次に台車ネジをはずし、床下機器と客室板をはずします。照明ユニットとおもりをはずすと このような状態になります。ここまでの手順では集電バネや照明ユニットのスイッチなど、細かいパーツを紛失する可能性が 高いので、物のない広い場所で十分に注意をして作業をしてください。
 赤い矢印の部分の「ツメ」が耐雪カバーを固定している部分ですので、これをはずしてゆきます。向かって右側が前 (エンジン) 側です。[エンジン]とした両側のツメはエンジンを固定するものですので、今回は関係ありません。はずす順番は特にないと 思いますが、どちらか一方から順番にはずすとうまくいくようです。カバーをはずしたらはずしたパーツを取り付けて元に戻し ます。照明ユニット (特にスイッチ) など取り付けが難しい部品もありますので、注意してください。また、オモリや照明 ユニット、集電バネなどの取りつけ忘れにもご注意ください。


 すべてが完了した状態です。これで晩秋まで乗り切ることが出来ます。なお、耐雪カバーの取りつけはこの状態で出来ますので、 さきほどの大変な作業をする必要はありません。

 その2では 細かいパーツの配置・改造を含めた紹介してゆきます。
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