本物マスコンで...完結篇(?)

使用パーツの解説

 長くにわたって引っぱってきましたこの内容ですが、今回で一応完結、となります。一応実用に耐えられるものと判断してのこと
ですが、改めてこの回路の導入については皆様の自己責任で、ということをお願いいたします。

 使用部品、および回路の解説、製作例を紹介する前に、今回の回路における性能を紹介しておきます。

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1.3V 2.1V 3.3V 4.8V 6.0V 7.5V
4.8V 5.6V 6.8V 8.3V 9.5V 11.0V
 電流値は最大1.5Aです。
 マスコンの「停止」ノッチは「切」と同じになります。切ノッチでも低電圧が
かかりますが、車輌は動かない電圧です。ただし、低電圧でもゼロでは
ありませんので別のコントローラーなどの電源とのショートには十分ご注意
をお願いいたします。

 動作の特徴として、直結とした時に「擬似」惰性運転が可能です。もちろんこれは本当の惰性運転ではなく、ノッチ操作を
しなくても走ってくれる、というものです。一応理論上では最高電圧は11.0Vですが、ノッチ操作の際 (特に3→4ノッチ)
瞬間的に12V超の電圧がかかることがあります。これはリレー回路の切換時に一瞬完全絶縁となり高電圧となるためです。
このレギュレーターICの回路はリレー回路の部分 (可変抵抗値部分) の抵抗値が高くなればなるほど高い電圧に、逆に
抵抗値が低くなればなるほど電圧が低くなるため、極端な話この部分が断線して途切れている場合はACアダプターの
出力電圧がそのままレール側に流れてしまいます。



 それでは今回の回路で使用するパーツにして解説をしてゆきます。なお、ここで紹介するパーツはほんの一例ですので、
メーカー、製造時期などにより差があります。これと全く同じでなくてはならないということではありませんので、示された
数値などを元にパーツをお求め下さい。また、価格についてはお住まいの地域、購入店、メーカーによって大きく異なります
ので省略いたします。参考までに総額はACアダプター込みで5000円程度となります (工具費は除く)。
 三端子レギュレーターIC (LM317T)

 この回路の中枢部です。熱に弱いので、ハンダ付けはすばやく
行う必要があります。高い電圧をより低い電圧に変換する際に
その差を熱として発散させる原理のため使用中も発熱します。
特に停止時などは入力電圧と出力電圧の差が大きくなり、より
多くの熱が発生するため放熱板を取り付ける必要があります (後述)。
そのため長時間停止させる場合のためにACアダプターとの間に
スイッチを入れて完全に電気を遮断するようにします。
 それぞれの端子には接続する向きが決まっていますので、この
表示が見える状態で取付を行ってください。
 なお、類似の型番でLM317というものがありますので、お間違えの
ないようお気をつけ下さい。
 抵抗

 抵抗には様々な種類があります。抵抗値以外にも抵抗自体の
種類や消費電力値、誤差などがあります。
 今回の回路で使用した抵抗は上から200Ω (赤黒茶金) 、
560Ω (緑青茶金)、430Ω (黄橙茶金)、330Ω (橙橙茶金)、
240Ω (赤黄茶金)です。今回使用したの抵抗は200Ωが1W、
それ以外は1/2Wの抵抗ですが、1/4Wのものでいいそうです。
種類については最も安いカーボン抵抗で十分です。
 抵抗の抵抗値は数字で書かれていることは稀で、ほとんどが
色の線 (カラーバー) で表示されています。抵抗値の後に書いた
色の並びがそれです。

 コンデンサ

コンデンサも抵抗と同様、容量のほかにいくつか種類があり、
構造による種類や耐圧電圧による種類があります。表記に
ついても種類によってわかりやすいもの、わかりにくいものが
ありますのでご注意下さい。
 今回使用するのは1μFの電解コンデンサ (左) と、0.1μFの
セラミックコンデンサ (右) です。電解コンデンサについては表記が
わかりやすいのですが、セラミックコンデンサについてはわかり
にくいので、お店の方に確認をしたほうがいいかもしれません。
 耐圧は16V以上のものを使用してください (余裕を持って50Vの
ものを使用しています)。なお、セラミックコンデンサは耐圧によって
大きさが変わるため、回路図での取り付け位置が多少変わる
場合がありますのでご注意下さい。


 電解コンデンサについては注意していただく点がございます。
電解コンデンサには乾電池のように+−の向きが決まっており、
これを逆にすると正常に動作しなかったり、故障や事故の原因と
なりますので十分ご注意下さい。
 通常はマイナスの足 (リード線) が短く、本体にもマイナス
側の線の向きにこのような−の表記がされています。
 なお、セラミックコンデンサにはこのような決まりはありません
ので、どちらの向きで使用されても大丈夫です。




 リレー (その1)

 今回使用したリレー (その1) はオムロンのG5V-1です。
1cタイプの接点のリレーならばどのメーカーでもいいのですが、
大きさと入手のしやすさ、回路の配置などでこのリレーを選び
ました。
 リレーにはリレーを動作させる電圧によってもタイプがあり、
今回は12Vのものを使用しましたが、これは入手の問題による
ものが、大きくリレー (その2) と同じ電圧のものにしなければ
なりません。そのため両方のリレーで入手できる電圧のものを使用
する必要があります。
 なお、リレーの各端子を間違って接続すると正しい動作しません
ので。リレーに表記されているマーク (矢印部分) に注意して
向きを間違えずに取り付けてください。
 リレー (その2)

 今回使用したリレー (その2) はオムロンのG5V-2です。
 その1と同様、2cタイプの接点ならばどのメーカーでも
いいのですが、大きさ、入手のしやすさのほかに、動作コイルに
極性 (+−の指定) があるものもあるので、このリレーを使用
しています (このリレーは極性がない)。たとえばパナソニックの
DS2E-S-12Vは回路の配置も全く同じなのですが、極性があるため
使用していません。
 このG5V-2はその1のG5V-1よりも使用電圧の種類が少なく
簡単に入手出来るものが限られています。もしこちらのリレーで
低い電圧のものがあれば、そちらの方をおすすめします。その
場合は回路図で示している電圧を変更してください。
 このリレーの表記マークは矢印部分のくぼみです。
 ACアダプター

 これがなくては基板ができても意味がありません。用意するAC
アダプターは電圧が13.5V、電流が1.5A以上のものをご用意下さい。
電圧は24Vなど高いものでも使えますが、電圧の差 (規定電圧-12V) が
大きいとレギュレーターICに負担がかかり続けるためなるべく差の
小さいもの (13.5Vに近いもの) をご使用下さい。市販品が望ましい
のですが、この条件に会う規格の物があれば中古品や流用品でも
大丈夫です。
 ただし、KATOのパワーパックに使用されているアダプターは
使用しないで下さい。これはAC100VをAC15Vに変換するもの
ですので正常に動作しませんし、故障の原因となります。必ず
AC100VをDC**Vに変換するものをお選び下さい。
 ACアダプター用接続コネクタ

 左のACアダプターのコードジャックを接続する部品です。
ACアダプターのジャックの規格のよって選ぶ必要がありますので
なるべくお店の方に相談して選んでもらって下さい。なお、この
コネクタには「基板取付形」と「壁面取付形」があります。画像の
ものは「壁面取付形」です。
 また、接続の際にはACアダプターのジャックの+−に
ご注意下さい。ACアダプターによっては+−が逆になっている場合も
あり、どちらの端子が+で−となると言い切れません。この+−については
ACアダプターの本体に図示されています。


 抵抗を加工

 抵抗はあらかじめ足を曲げておきます。今回使用した抵抗は
1Wと1/2Wのものでやや大形ですので、1/4Wタイプのものを
使用する場合は若干取り付け位置が異なりますが、その場合は
足の曲げる位置を調節して下さい (曲げる位置を調整しなくても
ハンダ付けの時に足の長さなどで調節しても大丈夫です)。
 レギュレーターICに放熱板を装着

 レギュレータICは熱に弱く、その反面使用時には発熱するため
このような放熱板を取り付ける必要があります。放熱板は大きい方が
放熱性が大きいのですが、費用とスペースを考えて選びます。
 レギュレータICの放熱板へ取り付けは3mmのネジで行います。
このような状態に加工してから基板に取り付けます。
 使用する主要な電子部品です。ただし、この中にスズメッキ線とリード線、ACアダプター、接続コネクタはありません。また、右にあるスイッチ
(トグルスイッチ)はACアダプターからの電源のON-OFF用です。接続コネクタと基板の間に設置します。リセットスイッチや一時OFFの働きに
なりますので設置した方がいいのですが、単純にACアダプターのコードを抜き差しすることで代用することも出来ます。
 

図説で見るパーツ・リード線の配置→

きはゆに資料室長