パーツ売りでいいから

 今回催事室を更新し、キハ56系の特集をしましたが、模型の細かい部分をつつくたびに思うことがあります。 はたしてどれだけの方がこの情報を欲していて、どれだけ役に立っているのか、と。取り上げるパーツは細かく、 精密な作業が求められるものや改造パーツがどこからも発売されていないものもあります。そもそも車体のモールドを削る ことだけでも、後々のことを考えれば大変という方もいらっしゃると思います (ハイ、私ですが)。まぁそれは 塗装の問題が大きいのですが、これだけはメーカー側ではどうにもならない問題ですので仕方がありませんが、 (でもペン型の補修塗料を発売してもらえれば...) 簡易改造をするうえで必要なパーツをそろえていただくことは 可能だと思うのです。
 もはやキハ56を含むキハ58系は古い模型に分類されるので、交換可能なパーツが少ないのですが、キハ40などはタイフォンだけで なく尾灯も別パーツになるなど、パーツの細分化が進んでいます。しかしながら細分化が進んだ車輛ほど細かい部分のツッコミどころは 少なく、また、何とかしてほしい部分が別パーツになっていないといったミスマッチがあります。これはもちろん模型自体の ディテールを上げるための細分化 (例えばエンジンパーツの別パーツ化など) であって、モデラー向けの措置ではないと 思われるのは分売パーツにラインアップされていないことからもうかがえます。この分売パーツはあくまでもよく破損・紛失する パーツの補修・交換のためであり、改造などのためというのは主な目的ではありません。モデルによっては破損しやすいパーツで あっても分売パーツとして発売されてないこともあり、本当に紛失・破損した場合に困ることもあります。

 分売パーツの充実は万が一の紛失や破損の時に助かるだけでなく、改造などにおいても役立つものですが、メーカーにとっては 単に在庫を増やすだけでしかありません。特に改造する上で需要のあるパーツは補修用としての在庫がなくなってしまう一方、 それほど需要はないものの、走行など重要な部分でパーツを確保する必要があるものはなかなかなくならないという問題が 出てきます。そもそも需要がないと見込まれたパーツについては正式な品番が付けられておらず、メーカーに問い合わさなくては ならないということもあり、意外と需要のあるパーツを探すのが大変という場合もあります。一応メーカー側でもやや需要が ありそうなパーツについては別会社、別窓口などで販売することもありますが、それもすぐになくなってしまうことがあります。 その一方でそうした別会社・別窓口では独自製品を発売している場合もあり、思わぬものが発売されている場合があります。 車体や屋根、床下、窓のほか、改造用のパーツが発売されていることもあります。ということは、です。改造用に必要であると 思われるパーツに関してはそうした別会社・別窓口に移管し、メーカーのアフターサービスは走行上必要な部品などを専門に 扱うようにすればそれぞれのミスマッチは解消されるように思うのですが...。
 別会社・別窓口化することで、このようなこともできるのではないでしょうか。たとえばある車輛の番号区分違いを売り出そうと する。しかし実際市場でどれほど需要があるかわからない。需要がわからないので単品売りがいいか、セット販売がいいのかわからない。 結果、即売り切れか大量の在庫が残るといった事態が発生する...。こうした事態を防ぐため、分売パーツで購入できる部品を 除いたパーツ (車体+窓など) を別会社・別窓口で試験販売をするのはどうでしょうか。そこで売り上げが良ければ正式に新製品化と なり、ダメであれば試作で済むことになります。完全に新しい形式であれば難しいかもしれませんが、ある程度金型が流用できる 車輛であればこの方式ができるように思えます。先ほど「キハ58系は古い模型に分類される」と申し上げましたが、最近細かい 部分において変更が行われることも多く、金型の細分化が行われている可能性があります。もしこれが本当であれば、多彩な 車体のあるキハ58系であっても「0番台冷房仕様車体」「400番台初期非冷房仕様車体」「1000番台車体」といった具合に発売 できるかもしれませんし、完成品発売ではないのである程度工作技術のある方を対象とすれば「この部分は分売パーツのここを 加工して使用すること」と注意書きをすれば新規部品を少しでも少なくすることができます。価格についても試作・小ロットですから 高めの設定であってもいいと思います。小さな部品については探せばどこかのメーカーから発売されている可能性もありますが、 車体形状の違い (特に窓など) についてはもはやメーカーに頼らざるを得ません。

 メーカーの事情もあるので、こんなことがまかり通るとは思っていませんが、食いつく人はガッツリと食いついてくるので 各パーツだけでもナントカ仕様といった感じで独自販売してもらえないものでしょうか。キハ58系だったら非冷房仕様の屋根、車体 といった感じですかね。意外と多数派が発売されていない (キハ56系もですがキロなんかもそうです) ことも多いため、金型を がんばっていただいて多彩なバリエーションが誕生することを待っています。
きはゆに資料室長