ここ最近の更新について、一応ご説明を申し上げておこうと思います。本館、別館ともに一応更新はしていますが、内容があまりパッとしないのは
否定できません。特にクレームが来ているということではありませんが、アクセス数ではマンネリ化が現れてきています (他にも原因があるのかも
しれませんが...)。当資料室としても何とかしたいところではありますが、特に本館では一応の履歴調査が終了し、転属年月不明個所の精査の段階に
入っているためです。別館のほうにおいても同様の精査 (こちらの場合はJR後における「年度」から具体的な月日の調査) を行っており、それほど厳密にデータを
必要とされていない方、JR期のデータは必要としていない方にとっては更新が無いに等しいものであると思われます。 それでは新規の形式などを調査しろ、ということになりますが、特に別館においては先頭車だけにターゲットを絞っていただけに調査する余地は膨大にある 反面、その基礎調査を行うだけでもかなりの時間がかかります。本館においては特急形、JR形気動車の履歴が挙げられますが、前者については別館同様 基礎調査未着手、後者においては車輌データなどにおいて不明な点が多く、解説が不十分であることから一部の履歴公開にとどまっています (需要があるかも 含めて)。JR形については一応は履歴調査をしていますので公開することは可能ですが、公開すれば更新は年1回ということになってしまいます。最新の車輌の 場合は既にある程度のデータがまとまっているために、補充的な更新が頻繁に出来ない欠点があります。これは最新の車輌だけに限ったものではなく、 古い車輌のデータを新規に公開する場合でも同様です。公開するからにはある程度まとまったデータを作成しておかなければならないので、結構完成度が 高い状態での公開となります。もっとも、当資料室が開業した当時はまだ資料が入手できないなど、調査が行き届いていなかった状態での公開となったため、 以後粛々と更新を重ねていました。しかし現在一通りの履歴調査を終える事が出来るほどの資料が集まったことで、一気に完成した履歴を公開することも 不可能ではなくなってきました。ただ、皆様には申し訳ございませんが、長い時間をかけて調査したものを1回の更新で終わらせたくはありません。 意地悪のつもりや、じらすつもりはありませんが、履歴を「調査する」という感覚を味わって頂きたいと思っているためです。利用する側としては 「そんなことよりもさっさとデータをよこせ」ということになるかもしれませんが、車輌履歴に隠された意外な発見、奇妙な動き、モヤモヤとしていた部分が スッキリとする快感...。このような部分をご理解いただければ、と思います。 まぁ、こんな愚痴のような、言い訳のようなことを言われても何も面白くないと思いますので、今やっている履歴の調査方法と今後考えていることを 紹介します。 今までの基本的な調査はカ過去の鉄道雑誌にあった「車輌の動き」をメインに、特集記事をその補充として作成してきました。しかし、特に古い時代のものでは 誌面の都合やその他の理由で記載にもれていた車輌も多かれ少なかれありました。そのようなものが履歴上の「空欄」となっていました。それを補完する目的で まず本館において1987年からおおむね5年程度ごとにそれぞれの車輌の全配置を「区切り」として載せることにしました。これにより、もし空欄があっても おおむね5年の間にどこにいたかが判明することとなります。ちょうど鉄道ピクトリアルのアーカイブスセレクションの巻末に古い「国鉄車両配置表」が 掲載され、これがこちらの想定する「おおむね5年」にも一致しており、アーカイブスで再掲されていない年についても自力で配置表を入手できたのも 追い風となりました。 JR後については毎年鉄道ファンから「車輌ファイル」として1年間の車輌の動きと現配置が発表されていたため、仮に転属などの動きが漏れていたとしても 「年度」単位での発表が出来ました。けれども情報が多くなってきた時代において「年度」のまま放置しておくのもどうか...ということになりました。 このモヤモヤを解決したのがジェイアールアールが発行されている「編成表」シリーズです。これは基本的に各所属区の車輌の編成や細かい特徴などを 解説したものなのですが、車輌の新製、転属、改造、廃車などについても記載されており、しかも「車輌ファイル」で記載されていなかった転属などの情報も 記載されていたのです。さらに都合が良かったのは、この「編成表」シリーズはJR後であればおおむね国会図書館に所蔵されており、コピーを取る事が可能で あることでした。こうして2誌から調査をするこことで不明な点も判明できますし、改造と転属の日付が異なる場合や、それぞれの誤植も検証する事が出来ました。 けれどもこうした調査はあくまでもJR後に限られ、国鉄時代、それもましてや昭和30年代の動きなどは調べる術がありません。そこで注目したのが 「車両配置表」です。この調査を「おおむね5年」としていましたが、これを毎年調べるとJR後のように年度単位の発表が可能となります。ただ、この 車両配置表は国会図書館にはほとんど収蔵がなく、収蔵は鉄道博物館か交通科学博物館ぐらいしかまとまった数はありません。幸い交通科学博物館は手軽に 行く事が出来る市にありましたので、現在も調査継続中です。こうして少しずつ発表しているのが現在の本館の更新状態です。ただし、この車両配置表には 多かれ少なかれ誤植があり、運が良ければ正誤表があったり訂正がされていたりしますが、その多くは誤植がわからない状態にあります。当資料室でも鉄道雑誌に 掲載された正誤表を見つけましたら掲載するようにしていますが、実際はそれよりも多い事があります。さらに古い車両配置表では中途半端な時期で区切られている こともあり、きちんと「4月1日現在」などと年度区切りとする事が出来ない部分もあります。特に1957年11月の動力車配置表の気動車の配置には登場したばかりの キハ20系が完全に脱落しており、同年に雑誌上で発表された4月1日現在の気動車配置表をそのまま写したのではないか、と疑いたくなります。さらに1957年 11月1日現在の配置表の次は1959年4月1日現在のものしかなく、この期間の空白が1957年度の動きなのか1958年度の動きなのかが判断できないままになって います。この当時は気動車の動きは鉄道雑誌の「車輌の動き」には全く記載されていないため、もはや調べる術がなくなってしまいました。 そんな折、ある方から「鉄道公報」というものの存在を聞きました。まだこれの調査は行っていませんが、これには鉄道車輌の転属などの情報も記載されていた そうで、これをたどれば不明な部分も判明するかもしれません。ただ、この発表が「配置区」ではなく「管理局」単位である可能性もあり、「管理局」内の「区」の 間での転属については記載されていない可能性もあります。しかしこれ以外にはもはや確かな情報はなく、これに頼らざるを得ない状態ですが、大きな問題が あります。それはこの鉄道公報が鉄道博物館にしかなく、それもマイクロフィルム扱いとなっているため予約が必要ということです。未調査のため、情報量が どのぐらいあるのかもわからず、1年分を調べるのにどのぐらいの時間がかかるかもわかりません。なお、車両配置表の気動車のみを写すのは、最盛期のもので 6時間ほどかかります。鉄道博物館も交通科学博物館も資料をコピーする事ができないので、手書きで写すほかないので調査範囲が大きくなればなるほど 時間も多く必要になります。まだやっていないことなので、やってみると結構順調に...ということもありますので、調査を行った後にまたご報告いたします。 ただ、これまでのことはほとんど本館のことで、別館については更新が僅かな状態が続いていました。別館については5年おき調査も行っておりませんし 中間車の調査も行っていません。本来ならばそのような調査をすべきなのですが、大変なのがわかりきっていたため別の調査を始めてしまいました。単純に 中間車が少なく、車輌数も少ないだろう。そして鉄道コレクションでも出たことで需要があるか...と考えたからなのでしたが、甘かったです。取り組み 始めたのは旧型国電。調べてみると車番や形式の変更がおびただしくあり、戦災による廃車や欠番も多く、まるで迷路です。ただ、乗りかかったからには これを放棄するようなことはしたくありませんので、一定の目途がついたところで公開をしようと考えています。需要の有無は別として、公開までしばらく お待ち下さい。 以上、言い訳集でした...(汗)。 |
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きはゆに資料室長 |