100万円の福袋

 少し前の話ですが、この年始にJR西日本の子会社がある福袋を売り出しました。それは10万円のものが2種類、20万円のものが1種類、 50万円のものが1種類、そして100万円のものが1種類という高価なものです。その中身はと言うと、いずれも車両解体部品 (一部企画商品) なのですが、いずれも内容に対して割高な感じがしてなりません。例えば、10万円のものの場合、クロ481-2002の車体番号 (車外のもの) 、 車掌用非常ブレーキスイッチ(クロ481-2002)、国鉄銘板(モハ484-607)、製造銘板(近畿車輛 モハ489-26)、企画商品のジッポライター3種類 という内容。しかも車体番号以外は他人に見せてその車番がわかる保証はなく、その商品についている紙のタグだけが証明となっています。 しかもジッポライターは在庫処分の抱合せ販売丸見えで、実態価格が売値を下回る珍しい福袋となっています。なお、表題の100万円福袋の 内容は...先頭部ヘッドマーク幕、特急マーク (前面にある逆三角形のあれ) 、車体番号 (車外のもの) 、側面行先表示器、非常ブレーキ スイッチ、日よけ (ここまではクハ481-801のもの) 、車体番号 (クハネ583-28) 、側面行先表示 (サロネ581-3) そして企画商品のC62スーパー ディスプレイモデル (1/45金属モデル 通常価格132300円が赤札市で税込10万円で販売)というラインナップ。

 みなさんはこれを高いと感じますか?安いと感じますか?少なくとも鉄道好きでない人ならば高い!と即答でしょう。ところがいずれの商品も 即日売り切れという結果なのです。即日完売、これがこの価格高騰をよりひどくしている実態なのです。
 この予兆はさかのぼること2ヶ月前にありました。
 昨年の10月、福知山線の事故以来中止されていた吹田工場の公開が行われ(吹田市制の記念行事共催という形ですが)、そこでも廃車部品の 販売が行われました。これはそれまでもあったことなのですが、今回は (からは、とするのが正しいか?) JR西日本の子会社であるジェイアール 西日本商事が販売を行っており、価格がそれまでに比べて高騰していたということです。それに加えオークションでは「引く」ほど価格が高騰し、 その場にいるのがバカバカしくなるほどです。その結果に気をよくして企画されたのがこの福袋...ということです。結果商事会社の目論みは 的中し、従来の販売価格の少なくとも3倍は高く売り上げる事が出来、在庫も若干ハケさせることが出来たのです。

 ただ、このような放出品高騰はJR西日本だけの話ではありません。JR東日本ではそれよりもずっと前から商事会社が関与して販売を行い、 JR四国においても業者との関わりを深めてからは価格が上がっています。モノの出所で価格が高騰すると、業者が関わるとより高騰し、ネット オークションとなるとその価格は天井知らずとなってゆきます。また、このように価格が高騰すると転売屋が登場し、ネットオークションで 高値を吹っかけてずっと売れずに出品され続け、貴重な品が本当に大切にする人にもとへ行かない事態が発生します。価格が高騰すればだれでもが 手にすることは出来なくなり、一部の人間だけの世界となってしまいます。趣味の分野というのは多くの人々、幅広い世代に浸透することで その趣味が発展してゆくのですが、このように一部の人間のものとなってしまうと「趣味」としては萎縮してゆくことになります。また、これには 金銭が絡むことで余計に乖離が顕著となり、「鉄道」という趣味を離れた「投機」の一面すら発生させます。
 望ましいのは元売である鉄道会社の販売価格を高騰させないこと、幅広い層に品物が行き渡るようにすることなのですが、価格を下げると 業者や転売屋の買占めが酷くなるという矛盾が生じます。「誰にでも手が届くように売る」というのは、もはや難しい時代になってきているのでしょうか? 最も懸念するのは、金持ちがカネにモノをいわせて買占め、興味がなくなったらそのままゴミとして廃棄する。こうして貴重な品が消えてゆくことです。 朽ち果て、荒れ放題になっている蒸気機関車のように...。

きはゆに資料室長