本物マスコンで...前編

 鉄道が好きで模型も好きな方であれば、こんな夢をお持ちではないでしょうか?
本物の運転機器で模型を運転したい!
ま、かく言うワタクシもまたそのような野望 (?) を持っていたわけでして、とうとう買っちゃいました。気動車のマスコンMC19!

 まぁ、これを眺めても、いじっても、それはそれで楽しめるのですが、せっかく全て稼動するのですからこりゃ実用化するしかない!ということで一大 プロジェクト (??) 「本物マスコンで鉄道模型を運転する」がスタートしました。(その筋に詳しい方々、これからのアホなやりとりが続きますがご了承下さい)
 しかしながら当方には鉄道模型の車輌、線路、ストラクチャはあるのですが、パワーパックなどの電気機器がない...。それまでは乾電池で無理矢理走らせて いたという状態でした(最近になって乾電池の配列によって電圧を変化させる装置を開発していましたが←かなりアナログなものです)。電気機器の知識もそれほど 豊かではなく、デジタルな電子部品についてはまるでダメな状態。ともかく内部を見てみなければ話は始まりません。その内部がこのような状態。

 ある意味、ものすごくアナログでメカニックな仕組みです。そもそもこのマスコンが設計されたのは昭和20年代なのですから、難しい仕組みなど無くて当然なの かもしれませんが、これは逆に私のような知識の無いものにとっては好都合でした。そのため最初はそれぞれの端子に異なった抵抗値の抵抗をつなげてやればいいと 思っていたのですが、メーカー製のものはどれも電流制御ではなく電圧制御ということ...。抵抗の組み合わせによる制御は電流値を変化させるもので、特に車内 照明などをつけた場合もちろん消費電流は大きくなるので実際走らせる電流値も変わってきます。気動車のような短編成ならばなんとかカバーできますが、長大編成と なるとそうはいきません。ということで電圧を変化させる方法を試みることになったのですが、この方法がわからない...。抵抗で変化させる事ができるのは 電流値だけだし...と悩んでいたところ、三端子レギュレーターというものを発見しました。これは簡単に言えば、ある任意の電圧に変化させてくれるICでして、 それも1V単位で異なった電圧のものが出ているということで目をつけたのですが、どうもこのやり方は不経済。そもそもこのマスコンの接点配列にも問題があり、 単純に数種類のレギュレーターICを組み合わせればいいというものではなさそうなのです。その設定配列というのは以下のようになっているのです。
停止 1 2 3 4 5
@ × × ×
B × × ×
C × ×
D × × × ×
端子Aは電気の供給元
 気動車は電車とは違うのは当然ですから、ここで制御するのは燃料噴射ポンプの電磁弁です。なのでこれだけの数の組み合わせとなるのですが、気動車ならではの 「アイドリング」があるため「切」の位置でも電気が流れるようになっています。しかもこの端子を無視するわけにもいかない組み合わせとなっており、これを ノッチアップと共に数値を上げてゆくにはある比率を算出する必要がありました。その結果出たのがC>B>@>Dで比率では5:4:2:1となりました。これで 一件落着...と思ったのですが、そんなにもポンポンとレギュレーターで電圧を足して大丈夫なのか?という疑問が出てきました。そんな折、この三端子 レギュレーターに電圧を変化させるものがあることを知ったのです。調べてみると、出力電圧の範囲も大きく、鉄道模型ならばバッチリ使用可能でして、出力電流 値も1.5Aと充分過ぎるほど。ということで、この電圧可変三端子レギュレーターを使った回路の開発が始まるのでした...。(後編につづく)

きはゆに資料室長