タダより怖いものは...

 「無料」という言葉に乗ってしまったら、結局高くついてしまった...。悪質商法に引っかかった人の言葉によく出てくるフレーズです。「タダ」「無料」 という言葉には誰もが何らかの反応を示してしまいます。これが街角のキャッチセールスならば信じる人はほとんどいないでしょうが、国の施策だとどうでしょうか?

 先の歴史的な選挙によって政権交代を果たした民主党ですが、その公約の中に「高速道路を無料に」というものがあるのは当然ご存知だと思います。 現在は首都高など一部を除き、ATC (もちろん鉄道とは無関係のほう) 搭載車は車種、曜日などを限定して全国一律1000円。これでも公共交通機関、特に瀬戸内の フェリー (離島便も含めて) は大打撃を受けています。もちろん鉄道でも減収などの影響が出ています。1000円取っていてもこれだけの影響。これがタダになったら どうなるでしょう??
 幸いなことに、この施策の支持率は決して高くありません。1000円で満足。無料になったら、その維持に税金が投入されることになる。環境対策に逆行する。 などなど、国民の目がまだ冷静であることだけが救いです。公約はありとあらゆるものが列挙されています。その中には賛成するものもあれば、反対だとするものも 当然あると思います。しかし選挙の時には個々の公約を選ぶことは出来ません。全てを総括してどこの党に1票を入れる...となるのです。国民が望んでいない 施策であれば、する必要はありません。何も、公約を100%実施できればいいというものでもありません。掲げた公約のうち、国民が望むものは実施し、 望まないものは実施しない。そういう態度で臨んでもらわなければ、結局無駄な公共事業と同じようなことになってしまいます。
 今はこのように国民の目は冷静ですが、いざ高速無料化となればどうなるでしょう?マスコミは当然「無料高速道で行く旅行」とかいう特集を組むでしょうし、 何かにつけて「高速無料」というフレーズをつけた商売が出てくるでしょう。そうなれば当然人々の目も興味津々となり、どのような勢いかはわかりませんが 無料高速へとシフトしてゆくでしょう。タダでサービスを提供できない公共交通機関にとっては、「タダ」より怖いものはありません。

 まずは北海道から段階的に実施...という風になってきていますが、そうなれば「はまなす」が真っ先に消えてしまいそうです。
きはゆに資料室長