鉄道趣味の一分野に「古レール」というものがあります。文字通り古いレールについて調査・研究をするのですが、そのような レールを発見するのは大変では...と思ってしまうのですが、結構古レールというものは身近に存在します。 | |
一見何の変哲もないプラットホームの写真ですが、このホーム屋根に使われている柱が古レールなのです。 この写真は大垣駅ですが、みなさんの近くの駅でも見る事が出来るかもしれません。また、ホーム屋根の柱以外にも 跨線橋や境界柵、水路の柱やバス停のなどなど、注意を払えば結構発見することは出来ます。古いビルの鉄筋代わりに使用 されていた例などもあります。 レールには製造者・製造年(製造月が判る場合もある)・レールの重量・納入先などが刻印されており、これの発見が古レール 調査の第一歩となります。ただし、刻印があるのはレールの一部分であり、ペンキが厚く塗られているなど、その発見は 難しい場合が多いです。 この柱の場合は下の写真のような刻印を見つけることができ、1893(1898?)年製の物ということがわかります。 | |
大垣駅には他にもこのような古いレールが使われています。輸入レールも多くあり、結構飽きません。 | |
↑1928年製の60ポンドレール |
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↑カーネギー社1900年製のレール |
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しかしながらこの趣味自体専門にされている方は多くなく、また、昔に比べて減少傾向にあることは言うまでもありません。
古レール自体も高架化やホームの改良、橋上駅化、最近の傾向ではバリアフリーによるエレベーターなどの設置工事により年々
姿を消しています。こうした古レールは趣味人ですら見落とされがちですので、主体である鉄道事業者にとっては単なる鉄くず
でしかありません。特別な研究により貴重なものである事が発表されていれば保存がされる可能性もありますが、ほとんどの
場合はそのままスクラップに...となります。 |
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現在北陸新幹線延伸による駅構内の大工事が進行している富山駅。5・6番線ホームはもう使用されておらず、この 2・3番ホーム(4番線も使用終了)もやがて姿を消すでしょう。この2番ホームにあった古レールの柱を何気なく観察 してみたところ、刻印を発見する事が出来ました。しかもその意味を簡単に知る事が出来たのです。 | |
カーネギー社1896年(1895?)9月製のレールで、「HANKAKU」鉄道が発注したものです。この「HANKAKU」鉄道とは、現在の 福知山線の前身となった「阪鶴鉄道」で設立が1895年、つまり現在の福知山線開業当時のレールが巡り巡ってこの富山に辿り着いたの です。 しかしこのような貴重なレールも、いずれはスクラップになってしまうのです。このような例は山ほどあり、全てを 保存しろなどとは言いません。ただ、車輌を撮るついで、列車の待ち時間の合間など、時間があればちょっと柱に刻印がないか 探してみてください。思わぬところで100年近くもタイムスリップすることができるかもしれません。 |
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なお、富山駅にはこのようなレンガのアーチもひっそりと存在しています。現在使用が廃止された地下道のためのアーチ (これは1番線のホーム)で、これもまた新幹線関連の工事で姿を消すことになります。 | |
きはゆに資料室長 |