RailSimU

 当資料室には鉄道模型をされている方が多数いらっしゃっています。室長自身もその端くれですが、身近になったとは言え やはりまだ鉄道模型は高価な部類の趣味に属するものだと思います。もちろん車輌などの単価もそうなのですが、走らせるための 線路などは使用する数が多いためその総額はバカにならず、情景アクセサリーに凝りだしたらもうその費用はどんどんつり上がって ゆきます。そして金額以上に問題なのが場所です。
 だいたい鉄道模型のレイアウトというものは「環状線」が基本で、本物の鉄道の ような「行き止まり線」というものはほとんどありません。そしてその「環状線」を何層にも重ねて複雑な景観を生み出す... というのが鉄道模型レイアウトの展開です。もちろんそのような「景観」を作り出すには最低六畳 (もちろん何もない) は必要で 最低でも二畳ぐらいのスペースは必要でしょう。独り住まいで一戸建てをお持ちの方ならば可能かもしれませんが、現実には このようなスペースを確保することは金銭面よりも難しいかもしれません。
 けれど、金銭面、スペース面で解決できる方法があるの です。それがこれから紹介するRailSimなのです。

 このRailSimとは「おかづ」氏により生み出されたパソコン内で行う鉄道模型みたいなものです。TとUがあり、 現在進行形なのはUの方です。今回当方がオススメするのはUの方です。以下、基本的にUについて述べてゆきます。
 RailSimはパソコン内で行うゲームですので場所も必要ありません。さらにこのRailSimはフリーソフト (無料) ですので費用はかかりません。また、鉄道模型では 線路はある程度の規格があり、完全に自由なレイアウトというのはできませんが、RailSimではペンで線を描くように自由に 線路をひく事が出来ます。車輌の運転は基本的にはダイヤを設定して駅やポイントにプログラムする (慣れれば簡単です) のですが、 運転席に座って操作するようなこともできます。RailSimならではのものに「時間」があります。ダイヤを設定するの ですから当然時間の流れは必要なのですが、それにより朝・昼・夜が発生し、さらには四季までも存在するのです。天気の変化こそ ないものの、月の満ち欠けや朝焼けや夕焼けなどもきっちり再現できているのです。そんなこと言ったって写真が撮れないじゃないかと おっしゃる方!ご安心を。スクリーンショットを保存する機能があり、さらに動画まで保存できますのでその点でもご満足 いただけると思います。
 もちろんいい面だけではありません。やはり困った面もあります。まず、3DCGですのでパソコンの性能が高くなければ 楽しめません。特にグラフィックボードがない場合はかなり大変だと思います。たとえ搭載していても、本格的な街でも作って しまえば、100km/hで走っているのに40km/hぐらいにしか見えない...ということもあります。旧バージョンのRailSimで あればある程度低い性能のパソコンでも楽しめますが、私がオススメするRailSimUだとかなりの高性能 (Core2Duo はあったほうがいいと...) が必要となります。
 次に、鉄道模型ならば模型屋さんに行けばお目当ての車輌や線路を購入する事が出来ますが、RailSimは無料ゆえの 困った面もあります。本体が無料なのはお伝えしましたが、この「本体」は鉄道模型のなんとかセットと同じで、最低限のレールや 車輌 (レールは見た目であり、形状やポイントにする分には問題なし) のみしか入っていません。それでは他に車輌が欲しければ どうすればいいのか!となります。答えは簡単、「探す」か「作る」です。RailSimの車輌や線路、建物はCGですので、 自作できます。こうして自作した車輌などを公開されている方がいらっしゃいますので、その方のサイトやブログからダウンロード して走らせるのです。ただ、鉄道模型なら (だいたい) どのメーカーのものでも立派なものですが、RailSimの場合は かなり差が大きくなります。特にRailSimUではその差は大きくなり、サザエさんと宮崎アニメが競演するような感じに なる場合もあります。せっかく目当ての車輌を発見したのにこんな出来かよ...なんてこともあります。しかもそうした提供先が いきなり閉鎖されるという、インターネットならではの事情もあります。最終的には自作する...という手もありますが、 結構時間と根気がかかりますし、車輌などはそこそこの図面がなければマトモなものは作れません。もちろん、こだわれば とてつもなく立派なものを生み出すことも出来るのが魅力なのですが...。
 そして、立派なレイアウトを作るには結構頭を使うということ...。鉄道模型は規格品で融通が聞かない分、誰でも簡単に レイアウトを作る事が出来ます。RailSimも基本的には簡単に出来るのですが、時折線路の接続状況が悪い (座標にズレが 生じている) 場合、とんでもない線路が「生えて」しまうのです。ジェットコースターみたいなものは序の口で、線路の途中から 「ジャックの豆の木」が生えた状態になることもあります。もちろん、これはちゃんと座標の計算をしていないため発生するので、 これさえちゃんとしていれば曲線だろうと勾配だろうと問題なく設置する事が出来ます。しかしこれをしっかりやろうとすると 結構数学的な知識が要求されます。立派なレイアウトが完成できたときには「技師」気分を味わえる状態です。
 例えば20‰の勾配を作る場合、まず平面側の線路と高架側の線路を作成し、次に始点と終点を切った状態の勾配の本体を作ります。 そして最後に勾配線路と平坦線路をつなげないと、不自然な坂ができてしまいます。さらにこれも20‰の本勾配とそれに接続する 緩和勾配を注意しなければとんでもない線路が生えます。  ...と、こだわりだしたらこんな具合になってしまうのです。 お勉強にはなりますけど...(汗)。

 ちょっとイヤな面を多く書きすぎたかもしれませんが、基本的には楽しいゲームです。そしてこだわったら鉄道模型以上に ハマる可能性のあるゲームです。車輌などの自作を始めたら、時間などいくらあっても足りなくなってしまいます。それだけ 夢中になれます。少なくとも、鉄道模型をされる方ならばその素質はあると思います。どうなのかな〜? と、お考えの方も、 フリーソフトですので一度ダウンロードをして体験されてはいかかでしょうか?好評ならば当資料室でも詳しい使い方のコツや 車輌や建物などの公開を考えたいと思います。

 最後に、このRailSimを公開されている「おかづ」氏のサイトを紹介して終わりたいと思います。
    インターネット停留所  (この中から RaimSimのリンクへ)
きはゆに資料室長