当資料室へお越しのほとんど方は、おそらく鉄道が趣味と自認、または公言される方と思われます。そのような方でなければここにあるデータなどは全くワケのわからないものであり、異様とも感じられるかもしれません。「鉄道趣味」というくくりの中で、ようやく当資料室は有用・無用が判断されるわけなのですが、そもそも「趣味」というくくりの中では「鉄道」はどのような立場にあるのでしょうか。 今年1月3日の朝日新聞に、同社が毎年行っている「定期国民意識調査」の結果が大筋で発表されました。この記事では「生きがいの多様性」に注目し、それから趣味に関する分析も行っています。この中から「鉄道趣味」に関するような項目を取り上げてみます。まず「あなたはどんな趣味を持っていますか?」という問いに対する回答(いくつかの選択肢があり、これらを回答・複数回答可)では、30位までがランキングされて、各趣味に対する分析コメントつけられています。 堂々の1位は「旅行・ドライブ」で46%、次いで2位が「スポーツをすること」で30%、3位は「読書」で28%となり、続いて「テレビを見ること」が27%の僅差で4位、「食べ歩き・グルメ」がこれまた26%の僅差で5位となっています。 1位の旅行は手段による分類はされておらず、国内・海外の区別もない包括的なくくりであるため男女とも1位、30代以上の全年代でトップとなる結果となっており、2位に大差をつけています。つまりこの「旅行」のなかで「鉄道旅行」が趣味という方がどのくらいいらっしゃるのかは見えてきません。スポーツが2位の「すること」と9位の「観戦」(19%)に分けているのであれば、旅行も少なくとも国内・海外に分ける必要があったのではないかと思われます。 ランキングの続きを見てゆくと、「映画演劇鑑賞」(24%)、「ショッピング」(23%)、「音楽鑑賞」(20%)と王道が続き、10位には近年ブームとなっている園芸・ガーデニングがTOP10に滑り込んでいます。11位以下になるとパソコン、ギャンブル、カラオケ、美術観賞などが登場し、18位には写真・カメラがランクインしています。むろん、この「写真」は鉄道写真を含む「広義」の写真であり、これは「20〜30代女性と中高年男性で高め」という分析からもうなづけます。まぁ、「写真」というジャンルを細分化するととてつもなく大変なことになりそうな...。なお、ビデオなどの動画関係の項目は設定されておらず、「カメラ」という形で含めているのかはわかりません。 続いて19位には漫画・アニメが登場します(8%)。ここに来てなかなかディープ(?)なジャンルが登場し敵ましたが、同じようなくくりであるゲームが23位(6%)にあり、「ゲーム」回答者の4割が「漫画・アニメ」を選択したと分析されています。この調査では「オタク」に関する調査も行われており、全体的にはオタクを自認する人は13%にしか過ぎなかったのですが、20代では34%、30代では29%、40代では26%(いずれも男性)となり、20〜40代男性の3割程度が「オタク」を自認しているという結果が出ました(なお、20代女性も23%が自認)。その一方「オタク」に対するイメージは「よい」という回答が全体で17%であるのに対し、「よくない」という回答が47%で、50代60代では過半数が否定的なイメージを持っているようです。なお、20代では「よい」という回答は28%で、若年層ほど肯定的であるのは共通するようです。 そろそろ「鉄道」はいったいどこのあるのか、と思われてきたのではないかと思われます。さらにランキングを下ってみると、「収集(コレクション)」の下の30位になんとか入っていました(1%)。コメントは「以外に浸透せず」...。いくらなんでもそのコメントはひどいんじゃないかー、と言いたくなりますが、これが現実なのでしょうか。 近年タモリさんなど、有名人が鉄道が趣味ということを公言されるようになりましたが、それでも鉄道を趣味とする人はあまり増えていないようです。鉄道利用者の減少とともに、趣味が多様化による趣味の分散はさらに「鉄道趣味者」にとっては厳しい状況になってゆくのでしょうか。この調査では各趣味のイメージなどは調査されていないのですが、「鉄道趣味」のイメージが思いのほか悪いのではないか、とも危惧する今日このごろです。 |
(未完) きはゆに室長 |