D50 データ 

D50の概要
 D50は新製時9900という形式で登場し、276輌目までこの旧形式が使われ380輌が製造されました。9600の後継として登場しましたが、9600の改良型ではなく、アメリカで多数使用されていた1-D-1タイプの機関車の影響を受けた車輌でした。これは計画当時は第1次世界大戦の影響もあり9600のような中型機関車ではなく、大型機関車が望まれためでした。そのため性能は9600が870馬力であるのに対し、1400mmの動輪が作り出す力は1280馬力と50%も上がっています。牽引能力も9600の700tから1000 tになっています。もちろんボイラーやシリンダの大型化による部分も大きいです。この性能はD50の後継車であるD51とあまり差がなく、そのため同時期の旅客用機関車が後継車に追いやられていったのに対し、長期間第一線で活躍していました。
 新製当時花形の東海道・山陽本線は9600が使用されていましたが、D50の登場により主役が交代することとなるのはごく自然なことでした。またD50はその力強さから単なる貨物牽引機だけではなく、勾配区間の補機としても使用され、マレー式という特殊な機関車を使用していた御殿場線(当時は東海道本線)にも配置され、山北-高島間の勾配を通過する列車を牽引しました。D51など新型の貨物機関車が登場すると都落ちして各地に散ってゆきましたが、その強い馬力で貨物に補機にと活躍を続け、後年D51と同じ運用につくようになりました。一部が軸重を軽くしてD60に改造されてより多くの路線で活躍することとなりましたが、しかし寄る年波には勝てず、D51が電化により転属してきたことも重なり廃車されてゆくようになりました。9600が入換用という第二の活躍の場を得て長生きしたのに対し、D50はその優秀な性能から一線で働き続け、見劣りすることとなったのは皮肉なものです。

性能データ
全長
全高
自重
軸配置
17248mm
3955mm
127.14t
1-D-1
使用蒸気圧
出力
最高速度
軸重
13kg/cu
1230馬力
70km/h
14.99t
シリンダ径
動輪径
製造期間
軸距離
570mm
1400mm
大正12年〜昭和6年
4710mm