C57 データ

C57の概要
 昭和12年ごろになると輸送力の強化のためボイラーの圧力を上昇されることが試みられ、C10とC11では13kg/cuから14kg/cuにして使用することになりました。C55でも62と63が製作される際、試験的にボイラー圧を1kg上昇させることになり、ボイラー鋼板や安全弁、各種管の継手も高圧用のものに変更されました。その結果より強い出力を得ることができ、大きな問題も生じないことがわかったうえ将来的に17〜18kg/cuに上昇できることも可能となりました。そしてこの2輌をC55とはせず新しい形式としてC57がつけられることになりました。
 C57のこのような経緯で誕生したためボイラーの主要部分はC55と同じで外観も動輪がスポーク動輪から箱型動輪となった程度の違いしかありません。なお、箱型動輪が旅客用機関車に使用されたのはこのC57が最初です。この箱型動輪のおかげか、その優美な女性的なスタイルから「貴婦人」の愛称で今日まで呼ばれることとなりました。C57の製造は貨物機重視のため昭和17年で一旦中止され、戦後になり旅客需要の増加から昭和21年に生産が再開されています。この戦後製は170以降の車輌で、船底型デンターや密閉式運転室などさまざまな変更点がありますが、正式な形式図がなくその詳細は不明です。言うなれば「C59のようなC57」という感じです。
 出力が増加し、軸重もある程度融通の利く範囲であったため非常に重宝され、戦時中も外地に供出されることもなく国内で活躍しましたが、空襲などにより4輌が廃車となりました。戦後も各地の急行や普通で活躍し、電化やディーゼル化が進む中C57は何とか残り続け、最後の旅客列車を牽引した機関車もこのC57でした。現在交通博物館に展示されているC57-175がそれです。

性能データ 炭水車を含む
全長
全高
自重
軸配置
20280mm
3945mm
115.5t
2-C-1
使用蒸気圧
出力
最高速度
軸重
16kg/cu
1040馬力
100km/h
13.96t
シリンダ径
動輪径
製造期間
軸距離
500mm
1750mm
昭和12年〜21年
3800mm